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金針菜と人参のきんぴら(養血きんぴら)

 調理そのものはきんぴらなので、慣れている方は組み合わせだけで、ちゃちゃっと作っていただけばいいと思います。基本の味付けには特に薬膳ぽいことはありません。
 人参、黒胡麻という鉄分もビタミンB12も関係ない食材が中医学では養血すること、金針菜という耳慣れないけど鉄分たっぷりの植物があること、これだけでもう薬膳です。

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①金針菜15本くらいを水で戻します。戻し汁に鉄分が出てしまうので、汁は後で使います。なので、あんまり多くない水で戻すのがおすすめです。
②人参一本をささがきにします。それほど人参好きでもないよという方は、減らしてください。金針菜が水で戻ったら、食べやすい長さに切ったり裂いたりします。金針菜はユリの花の蕾なので縦に裂けます。
③油をすこし敷いたフライパンに人参を入れて軽く炒めた後、金針菜を入れて軽く火を通します。両方とも生でもいけるので、人参の食感が好きな感じのところまでで加熱を終えます。
④砂糖小さじ2くらいを振り入れ、醤油大さじ1くらいを上からかけて一混ぜし、再度加熱しつつ味が馴染むように箸で混ぜます。
⑤火から下ろし、黒胡麻のすりごまを大量に(大さじ2くらい)かけて混ぜ、器に盛り付けます。器に盛ってからごまを和えると洗い物は少しだけ楽です。

できあがりです。

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 ご自身のきんぴらの作り方で問題ありません。
 黒胡麻はすりごまの方が吸収がいいので、粒よりすりがおすすめです。また白胡麻は帰経が違うので、養血になりません。

 それでは蘊蓄。
 まずレア食材の金針菜ですが、本萱草というユリ科の蕾です。緑の幼い蕾を炒めたりして中華やイタリアンでも使われますが、薬膳で使うのは今まさに開かんとする蕾と言われます。花を使う食材は、開く一歩手前が一番チカラが強いとされているのです。なので、ベージュや黄橙色の乾物として売られています。
 茶色のものは、ベージュのものが錆びてしまったものです。それだけ鉄分を多く含むんですね。
 でも、変にきれいな色のものは、酸化防止の化学処理をしてたりするので良し悪しです。(やわるしすでは癒雅膳食さんのをお勧めしてます。)
 金針菜は鉄分の含有量が多いので、養血できるのは分かりやすいですね。

 次に、人参と黒胡麻です。
 人参は、寛中下気、清熱解毒、健脾化湿、潤腸通便のチカラを持ちます。  ここにプラスで養血も書かれているものもあります。帰経が肺と脾。適応を見ると、小児の消化不良にも使われていたというくらい脾胃の「水穀の運化」を高めるチカラが強い食材です。
 血は、脾で水穀から作られる気と津液を混ぜて、腎や肺で作られます。なので、養血そのものをアップするというよりは、養血に関わる臓を元気にする役割なのかもしれません。
 また、本によっては肝にも帰経するとあり、肝の蔵血の働きを良くすることで、全身の血量を増やす可能性も考えられます。

 黒胡麻は肝腎に帰経し、滋養肝腎、潤燥滑腸のチカラを持ちます。肝は蔵血しますし、腎は造血の臓ですので、こちらも生産工場と貯蔵庫のメンテナンスになります。
 鉄分やビタミンB12・葉酸が特段多く含まれていなくても、養血や補血のチカラを持つとされるものは、このような仕組みが考えられます。他にも、栄養素的には貧血対策にならなさそうなのに養血補血のチカラを持つものがあります。調べてみるのも面白いですね。
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