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決戦の火曜日

ついにやってきたスーパーチューズデー!!現在アメリカでは2020大統領選挙、共和党トランプ大統領の対抗馬となる民主党候補者代表を決める、コーカス(党員集会)と予備選が始まっているのですが、その中でも特に注目されているのは大統領選挙のある年の、3月の最初の火曜日に開催される「スーパーチューズデー」です。 

アメリカの選挙方法は日本とは少し異なっていて、各州にデレゲーツと呼ばれる「代議員」が州の人口数に合わせて配置されています。2020民主党候補者の代表者指名争いには4000人のデレゲーツが全米に配置されていて、このデレゲーツの獲得数を候補者達は現在競っています。民主党代表に指名されるには1991人のデレゲーツ獲得が必要です。

コーカスか予備選かは、各州によって決まっていて、どちらの方法にしろ候補者達は投票数に応じたデレゲーツを獲得していきます。(単純な投票数の合計ではなく、デレゲーツの獲得数の合計で勝敗が決まります)

デレゲーツに関しては、州によって分配数が異なるのでアメリカ人の中でも混乱が生じているほど、少し複雑なのですが、簡単にいうとポイント制です。

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アイオワ州を始めに、ニューハンプシャー、ネバダ、サウスカロナイナの4州は「アーリーノミネーティング4ステーツ」と呼ばれていて、スーパーチューズデーより前にコーカス/予備選があります。

例えば、全米で1番最初にコーカスが行われるアイオワ州のデレゲーツは41名で、民主党候補者達は、この41ポイントを争っていました。「アーリーノミネーティング4ステーツ」のデレゲーツ合計は155人で、これはデレゲーツ合計分配の5%にも満たない数字なのですが、アイオワ州、ニューハンプシャー州は「アクティビスト」と呼ばれる積極的に政治参加する白人が多い州で、その結果は選挙戦の勝敗を左右するほどの影響力があります。

ところが、今年の民主党候補者の代表指名争いは一筋縄ではいかないようで、アイオワ州、ニューハンプシャー州で圧勝したピート・ブーティジェッジがスーパーチューズデーを目前に選挙レースから離脱。アメリカで、最も影響力があるとされるニューヨーク・タイムズ紙が支持を表明しているエリザベス・ウォレンが惨敗中。昨年末、突然出馬した元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグが「アーリーノミネーティング4ステーツ」のコーカス/予備選を放棄。大本命視されていた、オバマ政権時代の副大統領ジョー・バイデンがアイオワ、ニューハンプシャーの2州で惨敗。などなど番狂わせが起こっていて、アメリカの有権者も誰に投票するか、悩んでいる人が多いようです。

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ピート・ブーティジェッジはアイオワ州に重点を置いて活動していた効果があり、アイオワ、ニューハンプシャーの2州で勝利したものの、白人層のアクティビスト支持しか得られず、元々の課題であった黒人支持が得られないまま、黒人層が強いサウスカロナイナで惨敗。そのサウスカロナイナで、大失速中だったジョー・バイデンがオバマ政権時代に築き上げた黒人層の支持を受けて、圧勝。奇跡的な大逆転が見えてきました。

現在1位は「公立大学の学費無償化」や「アメリカ大統領になったその日に、カンナビス全米合法化」を公約し、とにかく若者に人気の高いバーニー・サンダース。そして、2位にジョー・バイデンとなりましたが、デレゲーツの合計配分はまだ5%にも満たないので、まだまだ勝敗は分かりません。

「スーパーチューズデー」後のデレゲーツ合計配分は38%まで一気に上がるので、民主党候補者達は今日から、ついに本気の戦闘モードに突入します。

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「スーパーチューズデー」では14州が同日にコーカス/予備選を行い、候補者達は14州合計配分1357デレゲーツの獲得数を競います。

今回のスーパーチューズデーが特に注目されているのは、毎回6月に予備選を行っていたカリフォルニア州がスーパーチューズデーに予備選を行うので、より最終的な結果が見えやすくなっていることです。カリフォルニア州のデレゲーツ数は全米最大の415人!ですので、カリフォルニア州がスーパーチューズデーの鍵を握っていることになります。

今年のスーパーチューズデーのインパクトがあるもう1つの理由は、アーリーノミネーティング4ステイツをスキップし、数億ドルをキャンペーン広告に注ぎ込んきた元NY市長マイケル・ブルームバーグがついに参戦してくることです。ブルームバーグを支持する地区が増えていること、アーリーノミネーティング4ステイツをスキップしている間、黒人層の支持を得るために動き回っていた結果が出始めていること、を踏まえてブルームバーグの票は”未知数“だといわれています。

そして、リベラル派が多いとされるカリフォルニア州は2016年の民主党候補者予備選の際、現在1位のバーニー・サンダースがヒラリー・クリントンに敗れた州で、現在、大失速中のエリザベス・ウォレンの支持が高い州でもあるので、ウォレンがここで巻き返せるかが注目されています。カリフォルニア州で勝利した候補者は、リベラル派が多い、全米第2位のデレゲーツ数274人を握っている、4月18日ニューヨーク州予備選の勝利も見えてくるので、カリフォルニア州が全候補者の運命を握っていることは、間違いなさそうです。

アメリカの大統領選挙は、人種や性別、宗教など様々な人の想いが複雑に絡んでいるので、一筋縄ではいかないことも多いですが、どんなに小さな声だとしても、声を上げることに意味があるんだ、と思わせてくれるドラマが沢山生まれます。

趣味で大統領選挙を見ている私は、アンドリュー・ヤングとピート・ブーティジェッジを応援していたので、どちらも選挙レースからいなくなってしまい、とても寂しいのですが、想像以上のことが起こり続けるアメリカの民主主義がどこへ向かうのか…

いよいよ「決戦の火曜日」の始まりです!!


Bibliography :民主党デレゲーツカウントと予備選結果

Bibliography:スーパーチューズデーとは?なぜ重要?

https://www.washingtonpost.com/politics/2020/02/19/what-is-super-tuesday/


「Democratic delegates count」でGoogle内で検索すると、日本からもliveで速報が表示されます



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