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【映画感想文#02】『PIGGY』(2023)口うるさい母は必要悪なのかもしれない

【あらすじ】
10代の少女・サラ(ラウラ・ガラン)はクラスメートからの度重なるいじめに苦しみ、家の中でも居場所を見つけられずつらい日々を送っていた。ある暑い日、地元のプールへ出かけた彼女はいじめっ子のクラスメート3人と鉢合わせてしまい、再びいじめの標的となる。その帰り道、いじめっ子たちが謎の男に拉致され、血まみれの状態で連れ去られる現場を目撃したサラは、警察や親に事情を話して彼らを助けるか、それとも沈黙を貫いて見殺しにするか悩む。

シネマトゥデイより引用


【注意】これより下、ネタバレ含む可能性有り。






主人公の葛藤物語に欠かせない人たち


子供の成長についていけていない母再び

前回の『僕らの世界が交わるまで』に続き
今回も母親と娘のぶつかり合い要素あり。

娘は口うるさい母に
「どうせわかってくれない、怖い、怒られたくない」
とか思っていたかもしれないけど

いじめっこの親に果敢にぶつかるし
警察に連れて行かれたときも、娘を守ろうとする。

そういう愛のある言動が
娘にはちゃんと伝わっている。

これが物語の最後の決断に
大きく影響していると私は思う。


キティちゃんみたいな殺人鬼

かたやこの殺人鬼は100%主人公の味方。
いじめていたやつらを懲らしめるし(というかサツ人をおかす)
彼女をあしらっている家族にも危害を加える。

水着で逃げる主人公にバスタオルをくれたり
からかってくる奴らに向かって車で突進したり
周りから言われて我慢しているお菓子をくれたりする。

この殺人鬼が途中からマスコットっぽく見えてくる。
理由を考えてみた結果
彼は「キティちゃん」にそっくりだからだと思った。

(キティちゃんに表情を持たせないように
 あえて口をつけなかったという話を聞いたことがある。
 またサンリオいちご新聞2月号には
 言葉より態度で示そうというメッセージがあると書いてある。)

まず彼は表情が豊かではない。
目をガッと見開いて主人公の気持ちを伺うくらいで
主人公を操りたいという気持ちも特に感じられない。

殺人鬼の心は複雑性がない、
インサイド・ヘッドでいったら脳内2人くらいで回してるのでは?
というくらいに単純な気がする。
思考も浅い。

だからこそピュアに見えるし
マスコットキャラクターのような
愛着が湧いてくる。

主人公も殺人鬼に若干好意を抱いており
家族や警察に真実を話すことを躊躇っている。

自分のためにモラルを捨てて守ってくれる人って
どうなの?っちゅう話。


身近な人が、自分のためにモラルを捨てたら・・・

人を物理的に傷つけるのは極論だけれど
自分の言動を全肯定され続けて
「自分=全部正しい」世界になってしまったら
自分がモラルのないおかしな方へ
進んで行く気がして怖い。

一見優しくないことも、正論も、世間一般論も
モラルを捨ててしまいそうになる前に
一旦踏みとどまるためのストッパーになっていると思う。

口うるさく感じる母親の存在は
子供から見るとその時期は「悪」と捉えてしまうが
大事なんだなあと思った。


舞台設定が主人公の葛藤を大きくさせる


主人公が住む街の風景や彼らの服装、生活模様が
とても素敵だった。

PIGGYを意識しているのか薄ピンクの小物が
多かったような気がする。

パンダがついたペン
ヘッドホン(+ロック音楽)
お揃いのビーズ(BFF)のブレスレット

髪をくわえる癖
いじめっ子のSNSを見て間違ってイイねしちゃうドジさ
足ぶらぶらさせながら宿題する様子

など、溢れ出る10代感。

世間狭そうな田舎町で、
バイクや車がないと遊びにいくのも難しそう。

こんな街で事件が起こるからこそ
主人公の葛藤がより大きくなるなるのではないか。


田舎は閉ざされていて
隠し事をするには条件が悪すぎる。



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