ここにヒーローはいない、さあ君の出番だ。
伊坂幸太郎さん小説の映画化「アイネクライネナハトムジーク」が、とてもよかった。
原作大好きなだけにがっかりしないか心配だったけれど、本から抜け出して輪郭を濃くしたような登場人物たちがみんな愛おしくて、最高。きっと今年見た映画ベスト3入りする。
「その時はただの風かなあと思うんだけど、あとから思い返して、あれがそもそもの出会いだったんだなあと思う。これが出会いだって、その瞬間は気づかないんだけど、あとでね、思い返して分かるもの」
「小さく聞こえてくる、夜の音楽みたいに?」
という登場人物のやりとりがタイトルの由来で、物語の背景を流れるテーマ。モーツァルトの「小夜曲」は、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だから。
たしかに、風も音楽も、ふわりと流れてきて気がつくと包まれているところが似ているなあ。
*
こんなにたくさんの人がいる世界であなたと出会ったのはものすごい偶然で必然なのだなと、
何者でもない普通の人は誰かにとっての特別な人なのだなと、
本人たちも気づかぬうちに他人の人生と交差してちょっとした勇気や笑いを届けているのだなと、
そういうフィルターを通して世界を見ると、明日がちょっと楽しみになる。
夕日がきれいな日の由比ヶ浜は、めいめいが誰かと大切なひとときを過ごしていて、その様子を眺めるのがなんだかとっても好きです。
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