本の棚 #50 『会社という病』
『会社という病』
江上剛
『本の棚』50冊目に並べるのは
ネガティブな、重た〜い印象のタイトル。
会社が病んでいるというのは
社員が病んでいると同義ではないか。
会社は社員が構成しているから
そういうことになると思う。
その病は社員の健康を害するだけでなく
世のために人のためにやってきた事業をも蝕む。
リコール、不正会計、偽装みたいなニュースを
毎日のように目にする。
著書では出世、派閥、会議、就活、定年、成果主義etc...
様々な角度から29の病について警鐘を鳴らしている。
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出世という病
若い時には出世という病に罹患し、野心ギラギラで仕事に励めばいい。そして、ある程度の年齢を重ね、次第に自分の限界が見えてきたからといってガッカリしなくていいのだ。じっくりと病の治癒に努めればいい。
出世欲という野心は、働く上での
大きなパワーになると、ぼくも思う。
だから出世欲を全否定するようなことはしない。
最初から出世欲がないのもある意味考えものだ。
ずっとプレイヤーで働くには、昨今の会社組織は
難しい場だろう。
とはいえ出世欲に支配されて進み続けると…
先が見えなくなるときがやがてくる。
そりゃあそうだ、
ピラミッド型組織は上にいけばいくほど
少なくなっていくんだから。
そのときは、その後の人生を豊かに過ごすために
仕事以外の楽しみをもつといい。
左遷の病
人生の手本は、「釣りバカ日誌」のハマちゃん
これまでの話に通じるが
人生を豊かに過ごすためのヒントを与えてくれる
それがハマちゃんだろう。
どこに転勤を命じられようと釣りさえできれば
幸せを実感するライフスタンス。
ハマちゃんに関してはもともと出世欲もないけど…
著者は「人生の達人の生き方」だという。
ぼくの父親にも似たものを感じる。
父は一人遊びが大好きな野生児だ。
自身で建築業を営み、せっせと働く。
そして休みになると、山にいく。
それが当たり前の環境で育ったから
朝から「おい、山にいくか?」と問われることに
なんの疑問も抱かなかったぼくだけど、
そんな誘いは父以外受けたことがない。
でも山にはいろんなアトラクションがあった。
どこにあるかわからないキノコを探したり、
父が蹴飛ばす大木から落ちてくる
クワガタやカブトムシを必死になって捕まえたり、
たまに毛虫が落ちてくるから要注意。
流れる川で足湯ならぬ足水で涼んだり、
滝の上から滝壺にジャンプしたり、
いろいろな遊びを教えてもらった。
全部お金がかからない、自然との戯れで
それが父親、我が家のライフスタイルだった。
「仕事以外何もしてません」
「趣味と呼べるようなものはありません」
これは危険かもしれない。
心身ともにバランスよく立つためには
一本足より二本足なのだ、
一本足打法は王貞治にのみ許された
伸るか反るかの生き方なのかもしれない。
先輩という病
先輩と後輩という関係は
上司と部下という関係と逆になる可能性が
会社では、ある。
部活動では先輩=上司のような認識だったが
会社では先輩部下、後輩上司というような
なんともやりづらい関係性がある。
部署が違えば立場の差はそこまで気にならないが
同じ部署だとお世話になった先輩に
指示したり、面談したり…気持ちが悪い。
可愛がっていた後輩に追い抜かれて
指示されたり、面談されたり…これはこれで。
そんなことは年功序列ルールが腐敗した世の中では
もっと増えてくることは間違いない。
だから常に謙虚で、できるかぎり敬語で話す。
〇〇さんと呼び捨てにせずに「さん」をつける。
このあたりは押さえといたほうがいい。
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会社という病を知り、ネガティブになるのではなく
そのなかで自分がどう在るかを考え
実践していくための本として読んでほしい。
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