本の棚 #94 『死ぬこと以外かすり傷』
『死ぬこと以外かすり傷』
箕輪厚介
こけないように、怪我しないように慎重に歩くことにどれだけの効用があるだろう。
「死なない程度に失敗しろ」というのはどこかで耳にした言葉だが、それくらい必死になって何かに取り組んでみてもいいんじゃないか、それくらいやらないと人生そんなに面白くないよ、という意味にもとれる。
旅をしていて感じるのは「トラブル起きないかなぁ」と期待している自分がいること。
高校のときに友人と3人で宮古島にいったある日の夜、海辺を散歩していると子どもサイズの小さなサンダルが波打ち際にきれいに並べてあった…
完全にホラーのやつやん、ぼくらは叫びながらホテルに向かって走って逃げた。あれはなんだったのか、未だにわからない。
またあるとき仕事で海外に行った際に空港でパスポートを紛失した。なんかの本で読んだことがあるようなシーンだったが…この「何かに起きている」という状況にワクワクを感じたことを覚えている。数分後にイケメンナイスガイに肩をたたかれて「これ自分のやつやろジャパニーズ?」的な感じで案外あっさり解決したけど。
怪我、失敗、トラブルなんかを恐れていると何も進まない。むしろそういうものにウェルカムの姿勢をもつことで人生という乗り物は楽しめるのかもしれない。
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相手の才能を吸収するつもりで仕事をする意識はどんな職業出会っても大切だろう
ドラゴンボールのセル
ワンピースの黒ひげティーチ
HUNTER×HUNTERのクロロ
以上の例からわかることはひとつ。
「吸収するやつは強い」
吸収というか真似というか憑依というか。
その手を使うと悟空にだって勝ててしまう。
「自分は自分なんで、あの人の真似は無理です」と言っていると成長のチャンスを逃している可能性がある。
自分の個性なんてものは、吸収したり、真似したりしまくった先に見えてくるような気がする。
自分の人生を乗っけて熱狂できるかどうか
先日「使命」についてうちの社長が話していた。
「命を使う」と書く、つまりクラピカのエンペラータイムはまさにこれだ。
命を削ることを代償にチートなパワーを発揮する。
自分の人生という時間を何に使うか
これが明確に定まっていて、さらにそれに熱狂している状態は無敵だ。「努力は夢中に勝てない」というように没頭できる何かを見つけてなりふり構わずうわぁーっとやるのはかっこいい。
その何かは今やっていることかもしれないし、そうじゃないかもしれない。けれども、そうじゃないかもしれないと思ってる時点で没頭できていないから夢中モードには程遠い。
「無理はなあ、通すためにあるんだよ!」
見城徹さんに言われたらしい。
歳を重ねるごとに無理をしなくなったり、無理そうなことを回避したり、それが人間らしいなとも思う。
けれども見城さんのように無理を無理と思わず突っ込んでいくような人も、これもまた人間らしい。
ごぉ〜っと激しく燃えるような人生を送りたいのか
ゆら〜っとf分の1ゆらぎ的なノリで生きたいのか
意識的に選択していくことで生きやすくなるんだと考えている。その間で揺れている人たちは「苦しい」かもしれない。激しく燃えたいけど…でもf分の1の感じも捨てがたい。
ホリエモンなら「両方やればいい」とピシャッと言い放ちそうなものだが、なかなかどうしてそれができない。
だって、にんげんだもの。
長い間そうやってきたという理由だけで踏襲されている「スピード相場」に洗脳されている
これまでの経験値は時として重荷となり新しい挑戦を潰してしまう。経験値とはこれまでの常識のようなものだから、今後もそうだとは限らないのに。
「その工程には3時間かかるから」
「それは1ヶ月では終わらないよ」
それはこれまでのやり方をそのままやったらの話であることを忘れてはならない。自分にも言い聞かさないと…
「変わり続けることをやめない」と言うのは落合陽一さん。
明日と明後日で考える基準を変え続けろ。
なるほど。そういう視点がいるということか。けれども人間の惰性とはなかなかしつこいもので、変わらないように変わらないように、そのままあり続けようとする。
その殻を破ったものが新しいチャレンジをしてたくさん失敗して、かすり傷だらけになりながらも、燃え盛る炎のような、壮絶な人生を送れるのだろう。
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