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【映画】自分の幸せの尺度だけでもの言わないでよ‐『永い言い訳』

■ 邦題:永い言い訳
■ 監督:西川美和
■主演者:本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル、堀内敬子、池松壮亮、黒木華
■ 日本、2016年
■ドラマ、124分 
■ 第40回 日本アカデミー賞(2017年)
 第28回山本周五郎賞 、第153回直木三十五賞 候補作。2016年本屋大賞第4位


1.ストーリーの概要(ネタバレ含むので注意)
2.お気に入りのポイント
3.こんな時に観るのがおススメ
4.5点満点のうち?

1.ストーリーの概要(ネタバレ含むので注意)
ポスターのコピー
「妻が死んだ。これっぽっちも泣けなかった。そこから愛しはじめた。」
がかなりインパクトが強く。
人気作家の衣笠幸男は長年連れ添った美容師の妻を突然の事故で亡くす。
すでにお互いに愛情がない関係であり、
妻が亡くなった時不倫をしていたにも関わらず、
表面上は妻を不慮の事故で失った悲劇の作家を演じている。
そこへ同じ遺族であるトラック運転手の大宮陽一に出会う。
陽一は幼い2人の子どもを遺して旅立った妻の死と
子供の世話を見れない状況に憔悴していた。
そこで幸夫は、大宮家へ通い、兄妹の面倒を見ることを申し出、
大宮家の2人の子供、大宮陽一に触れながら、自分を取り戻してゆく。。。

http://nikkech.com/wp-content/uploads/2016/10/CvINubPVUAAgtt1.jpg-large-e1476975243735.jpeg

2.お気に入りのポイント
人間の弱いところ、孤独なところ、
自分に向き合えないまま大人になってしまった幸男。
でも無垢な子供や大人に触れて少しずつ溶けていき、
自分を受け入れる姿がすんなり入ってきます。
子供がいない夫婦の、お互いがちょっと覚め、
とげとげしい会話から映画は始まり、
でも二人を繋げているのは二人で作った人生の歴史だと気付かされるのは、妻がいなくなってから。
大宮家のあーちゃんの誕生日に
大宮陽一の彼女になりそうな科学館の先生が(実はこの役柄、黒木華が一人二役だったんですね、気付きませんでした)仲間入りした時、
幸男が疎外感を感じて酔っぱらって毒舌を吐くシーンがあります。
子供がいない幸男に対し
陽一が亡くなった奥さんは本当は子供が欲しかったんじゃないの?
という質問に
「ねぇ、何がわかる、けど関係性なんて変わるじゃん。親子だって、夫婦だって、友達だって。昨日と今日じゃもう全然違うじゃない。ほら、違うでしょ。頼むから、自分の幸せの尺度だけでもの言わないでよ」
 幸せは人それぞれ。
でも幸男は”その尺度”に自らが縛られ悲劇の作家を演じていたし、
そういう本を書いていたんだろうし、
そのままの自分を受け入れていなかったんだと思う。
それが無垢で必死に生きる大宮家の子供たちと大宮さんに触れて少しずつ溶けていく。

幸男の奥さん役の深津絵里が事故にあう前、
夜行バスの窓から明るくなった山の雪景色を望む表情は、
全てをわかっていて受け入れている仏様のような表情だった。

実はこの作品は16ミリフィルムで撮影されたそうで、
デジタルにはない粒子の粗さから届く
映像の美しさと色合いがまたこの作品を美しく演出している。

3.こんな時に観るのがおススメ
いやな自分に疲れてしまった時、
あー人生こうじゃない!と思った時には
「人間だもの、こうだよね、言い訳しながら生き続けるのが人間なのよ」と自己肯定感が少し上がります。

4.5点満点のうち?
4点、子供たちの演技力、すごいです。


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