『青葉家のテーブル』 夏の風物詩と共に紡がれる人生の絶妙な交差点
『青葉家のテーブル』
2週間、夏、という穏やかなストーリーの中に、
食、アート、音楽を囲み
登場人物それぞれの人生への謳歌が描かれた作品。
「北欧 、暮らしの道具店」の連続ドラマが映画化されたものだそう。
アマゾンプライムで
「見放題が終了間近」(2023年12月11日現在、あと9日)
の映画として画面にPOP UP。
ということで、あわてて視聴。
2011年の作品です。
海外の「食」をテーマにした映画作品は
特別なこだわりや有名シェフが題材だったり。
この『青葉家のテーブル』は、そうではなく
日常の食であるからこそ、の、
それぞれ登場人物の夏のひと時を感じる
愛すべき作品でした。
若干のネタバレがありますが、どうぞお付き合いを。
春子の視点から:
20年後にこんなに格差が?もやもやは止まらない。
人生半ばを過ぎた方なら、誰もが一度は経験があるのでは?
と思うのが春子の今と心境。
居候でやってきた優子の母親、知世と春子は学生時代
一緒に雑貨屋さん、お店を開く夢見て、青春を過ごした仲間。
それがひょんなことから、それぞれが違う人生を歩むことになりました。
今は立場も居場所も全く違う二人。
それを冷静に見つめようとしながらも、
なんだか、もやもやが止まらない春子。
学生時代のあの子が、
その後こんなに有名になった、とか、こんなに成功している!
あのとき、そんな雰囲気全然なかったのに!
私も50歳をすぎると、
まー次から次へとそんなことが。
これは自分に対するコンプレックスなのでしょうか、ね。
それでも春子は知世に再会してお酒を交わしてみると
どんなに有名になったとしても、
根本は学生時代とは変わらず、
悩みはやはり、ささいなこと。
あのときそれぞれが選んだ選択、
お互いの人生は違ったとしても、
今、キラキラ輝いている。
もやもやを知世にぶつける春子も、ステキなキャラクターでした。
主人公優子の視点から:
私は何をやりたいの?5年後は何してる?
母親がちょっとした有名人で、
しかもある意味成功者。
優子はその環境から逃れたい、
自分のアイデンティティを模索しています。
美大に行きたい、
ということで美大予備校に通うのですが
そこでも優子はもやもや。
私っていったい何をしたいんだろう。
私っていったい何が得意なんだろう。
少し恋心も目覚めたなかで、
自分のコンプレックスにも直面し
悩みながらも成長していく優子。
そしてその優子を温かく見守る、青葉家の人々。
2週間の居候ではあったのですが、
優子はどんどん魅力的に成長していくのです。
「やっぱ何回考えても、
わたしはなりたい自分が毎日変わる。
そんな自分めっちゃ嫌いだったんだけど、
今はそれでもいいかって胸を張る。。。。(中略)
数年後また会おう。私はかっこよくなる。」
"青葉家のテーブル"は、美しい映像と共に、
心に残るキャラクターたちの
成長と絆を描いた夏の映画の傑作でした。
青葉家のテーブルの周りに広がる温かな空気は、
まさに最高の温かみを感じる作品となることでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。