スマホに釘付けになる人々
電車に乗ると、みんな一様にスマホの画面を見つめて、何やら突っついている。若者から中年、時には老人まで。
正直、スマホでゲームをやらない、ライトユーザーの私からすれば、「何をしているの?」という感じだ。
SNSかもしれないし、ゲーム、ニュース、誰かと連絡を取っているかもしれない。
かく言う私は、たまにスマホを触りはするが、基本的に電車内では編み物をしたり、読書をしたりする。
この、編み物というのがなかなか良い。自分でも古風で風変わりな体を晒している自覚はある。時折正面に座った人に見つめられるのだが、その人の退屈な一時が、編み上がっていく編み物に向けられているなら、それは意外と良い。恥ずかしくはない。
今日、ソファに寝転ぶ弟にずけずけと、スマホで何を見ているのか訊いてみた。「エッチな画像を見ていた」そうだ。人それぞれである。
そんなにスマホを見つめて飽きないか、とも訊いた。飽きている、という答えだった。でも、他にすることがないから延々とスマホを突っついているらしい。退屈なのだ。電車で編み物をする私と心理は一緒だ。
「スマホしかできない人間が量産されている」
電車から降りた私は、こんな皮肉なことを考えていた。でも、きっと違う。
皆、自発的に暇潰しの方法を求めていなさすぎだ。スマホ以外の、心を満たす趣味を。
多くの人間は、孤独の時間にスマホに癒しを求める。でもたまには、それを客観視して、スマホを置いて、何か手を満たすものを探してはどうか。
趣味人たかほより