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【読書感想】「爆弾」〜和製レクター博士の誕生なるか?〜

こんばんは!
本日は先日読み終えました「爆弾」という小説の感想書いていきます!

本屋で店頭に売り出されてるのをたまたま見かけ、あらすじが面白そうで購入。かれこれ1ヶ月半ぐらいかけてゆっくり読み終えました!

◆概要

作者|呉 勝浩
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↓ あらすじ(amazonから引用) ↓
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
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『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)、
『ミステリが読みたい! 2023年版』(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)国内篇で驚異の2冠!!

◆正直感想

①冒頭の体感10ページぐらい?で直ぐに爆発発生!物語がジェットコースターで進み、全く飽きない。
②サイコパス犯人のスズキタゴサクと、天才取調官(?) 類家の頭脳戦が最高!
③様々な刑事や人が絡んで事件が解決に向かう群像劇的展開になり、今までありそうでなかったミステリー!

はい、全然一言でまとまらなかったのですが、、、敢えて印象に残った感想を3つに絞ったら上記になりました!

とりあえず①に関しては、初めっからすぐに爆発してくれて読みたい展開が始まるので、一気に物語に引き込まれました。もし小説あまり読まないけどこの本気になってたんだよな〜って方いたらマジでおすすめです(笑)

活字に慣れてなくて数ページで飽きて読まなくなってしまうことはないです!爆発もすぐだし、頭のおかしいスズキタゴサクという男も一言目から「これ魅力的なサイコパス犯人や」って思わせてくるし、そんな怪物と取調室で対峙することになる刑事たちの会話劇もすぐに読めて全く飽きないです(笑)良くも悪くも冒頭に無駄や緩さがなさすぎる展開ですw

そんな冒頭から一気に物語はスタート。
スズキタゴサクが取調室で霊感があると称して次の爆発があることを予言していきます。ただその予言ははっきりしたものではなく、タゴサクのクイズゲーム形式でヒントが出されていき、刑事たちはその謎解きに翻弄されていくのです。

また、この正体不明のスズキタゴサクは会話をしながら相手の心理を読んだり激昂させるのが得意。相対する取調官や刑事たちは次々と変わっていくのです。

◆特に魅力的な二人のキャラクター!

そんな中、中盤以降にタゴサクの相手のメインとなるのが、類家というもじゃもじゃ頭の捜査官。こいつもスズキタゴサクに負けるとも劣らずサイコパス的に天才で、タゴサクの問題も次々と推理し、真相に迫っていきます。この類家の登場以降さらに物語はヒートアップし、二人の会話劇も読んでてめっちゃ頭脳戦で面白いです!

スズキタゴサクと類家。この2名がやっぱり一番印象に残る登場人物でした!スズキタゴサクはあのレクター博士を思わせるサイコパスっぷりなのですが、読んでて想像した見た目はドランクドラゴンの塚地さんw 映画化するならその配役しかなかろうか(笑)だからか、レクター博士のような品性、格好良さはないのが少々残念な点ではありますが、その分さらに人から離れた獣的な怖さは感じられて、それはそれで十分魅力的なキャラです。

一方の類家という刑事は想像するなら菅田将暉さん!もはや「ミステリーというなかれ」のあの姿が目に浮かびましたw しかし性格は全然違う。敢えてなのか序盤こそおとなしそうに振る舞っておきながら後半はオラオラモードでスズキタゴサクとバトルを繰り広げることになります。

◆群像劇な展開。読者だけが点と点をより太い線で繋げていける

ただ③の感想の通り、それ以外にも登場人物はたくさん登場してきます。
何せ連続爆弾事件なので、取調室の外ではたくさんの刑事が爆弾物の大掛かりな調査に繰り出しているのです!

先に挙げたタゴサクvs 類家以外にも3人ぐらいの主人公たちが並行して事件を追っていってる感じです。もちろんそれぞれの共通の敵はスズキタゴサクになるのですが。その登場人物があんまり絡まないのも新しくて良かった感じがします。もちろん会話することもあるんですが、「あ、ここで類家さんにも情報いくんだ!」とか、「あんなことがあったのにこっちの人たちは何も事情知らないんだよな〜」とかとか。警察のリアルな連携した捜査を俯瞰して読んでる感じで読者だけが点と点をより太い線で繋げていってる感覚でした!

◆次回作、絶対に読みたい!

最後はめっちゃ驚くどんでん返し!という感じではないですが、真犯人の意外な犯行動機や複雑な事件の全貌は見落としてた!ってなって意表をつかれた展開でした。
また文庫版のあとがきに書かれてるのですが、”「爆弾」は怪物(スズキタゴサク)と戦う個人が「自分に対する信頼を保つ」ための葛藤と争いを描いてる”という言葉がとてもしっくりきました。本当に群像劇でもあるので、登場人物それぞれが怪物と向き合った結果どのような結末を迎えるのかをぜひ読んでみてほしいです!

最後に続編への期待度、これはMAXです!
どうやらスズキタゴサクは端役とかではなく、またまた大活躍(?)するっぽいのでワクワクしてます。とりあえずこの一作目での存在感は抜群だったのでそれを次回作ではどう調理してるのかが気になりすぎてますw

文庫版でも少し厚いですが、読み始めたらどこを切り取っても読みやすくて展開が早いので、毎回読み出すのが楽しみになる本でした!

おわり


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