給与振込がデジタル化へ。実はWin-Winかも

ここ数日も緊急事態宣言の話がメディアの話題となっていますが、静かに進めているのが、企業からの給与が従来の銀行口座振込でなく、従業員の携帯の決済アプリ(資産移動業のアプリ)へ直接つながるのでは(所謂○○ペイへ払い込み)という報道があった。中国のアリペイやWechatPayへのトレンドと同じように、日本でも決済アプリを日頃から使っているユーザーにとってはメリットを感じやすいでは。

3月末にも労基法に基づく省令を改正し、資金移動業者も例外的に認める対象に加える。個人情報保護や資金保全などでの基準を定め、安全性を担保できる場合に限って解禁する。事業者には保証機関や保険会社と契約し、仮に破綻しても労働者への支払いが遅れないようにする仕組みの構築を求める。本人確認の体制が十分な企業かどうかも基準とする

また従来銀行の独占上であった給与振込に他業種が入ってくることで、銀行にとっても困ることなのか。答えはそんなに単純ではないように思える。もしかしたら、給与振込が減る、という点だけに着目すれば、銀行にとっても『嬉しい話』という側面も一部あるのでは、と私は思う。

銀行再編や金融関連の過去投稿に関しては、下記をご確認ください。
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背景には、銀行経営が社会インフラ化してコストはかさむが、儲かりにくく、その流れの一つとして地銀再編の動きや既存の様々な手数料徴収(振込手数料以外にも通帳発行手数料など)が必要、という業界の流れがある。私が感じた点は下記の通り(内容は単純ですが)。

給与振込など潜在的に銀行に預金が増えることは、銀行にとっては負債が増加し、システムの管理コストも増加する以外にも、資産側で稼ぐ必要もある(例;預金を国債などで運用して利潤を稼ぐ)。特に日本国債がマイナス金利下では、各銀行が円資産の運用先がなく、出来るだけ『円預金』を減らしたい、というニーズが大きくある。

社会インフラの面では、毎月25日前後にATMの前で長蛇の列になっていることから分かるように、銀行に現金引き出しに来られる方々がいる。加えて銀行は支店のコストに加えてATM整備も必要になる。

上記2つの側面・問題をこの度のデジタル振込が一部解消・低減してくれるのならば、銀行はATMのエリアを資産運用業や保険業などのコンサルスペースへ転換する等、ビジネスとして儲かるエリアへ舵を切れる可能性も出てくる。

給与振込に関しては、銀行もユーザーも、デジタル化移行へはWin-Winとなりやすい構図であると思う。しかし戦場は既に、その後の資金の流れる先へ、と映っているのでは。特に足元では資金移動業者が、銀行や証券会社と手を組み、決済アプリへ振込まれた資金のその後の運用も、という面で親和性を高め、ビジネス拡大を盛り込む。加えて将来的にはデジタル人民元のような、中央銀行デジタル通貨へ、とつながっていくのでしょう。


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