中国のしたたかな、ワクチン外交
ご存知の方には特に新鮮味はないかと思いますが、日本のメインストリームメディアではあまり出てきてないようなので、投稿してみようと思います。
冬に入り、中国国内でも再度コロナ感染拡大が見られている、という話は上記投稿でお話しましたが、同時に中国の王毅外相は東南アジアに訪問し、ワクチンを提供します、と言って回っています。
王毅外相は、今月4日から9日にかけて、アフリカ5か国を訪問し、ワクチン提供に向けた協力を約束し、このうちインド洋の島国セーシェルでは、10日から中国国有の製薬会社「シノファーム」が開発したワクチンの接種が始まりました。さらに、今月11日から16日まで東南アジア4か国を訪問し、このうちミャンマーでは、アウン・サン・スー・チー国家顧問らとの一連の会談の中で、ワクチン30万回分の無償提供を表明しました。
中国との地理的、歴史的繋がりに加えて、アフリカや東南アジアの途上国への経済支援を行ってきましたが、今度は中国企業が開発した、新型コロナ対応のワクチンを提供することで、今後の外交関係を強めていきたい、という考えだと思います。
また途上国支援の側面として、欧米企業のワクチンと大きく異なる点は、所謂日常でよく見る不活化ワクチンを中国企業は提供していること、のようです。
欧米の製薬会社が開発したワクチンは、従来型のワクチンとは異なり、mRNA(メッセンジャーRNA)やウイルスベクターを活用したものであり、一種の遺伝子治療と位置付けることができる。一方、中国が開発しているワクチンは、従来から使われている不活化型である。不活化ワクチンは、活性を失わせたウイルスを投与する方式で、新型コロナウイルスについては初めての製品化だが、手法そのものに目新しさはない。
日本でも報じられていますが、米ファイザー等のワクチンは超低温管理が必要で、その冷凍ロジスティクスが可能、という面も踏まえると先進国向け、と言えるでしょう。それに加えて不活化ワクチンは温度管理も簡単である、という面では途上国でも活用可能である、ともいえるでしょう。
一方でWHOはワクチン接種は免疫獲得を海外渡航の条件にしないよう、という勧告をしたそうです。『ワクチン接種の格差』などを助長しないように、ということかと。この勧告は言い方を変えれば、ワクチン接種のバブルなり、外交を強めすぎないように、ということも言えると思います。
個人的には、コロナ対応としてワクチン接種も含めた集団免疫を備えることは重要でしょうが、同時にワクチンと陰性証明がワンセットになることで、今後の人々の移動が円滑になるのだろう、と感じます。そして中国企業は既にその方向にちゃんと進んでいるのでしょう。
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