見出し画像

#11_学習と適応のメカニズム

こんにちは、チェンジマネジメントコンサルタントの江田です。
  
以前、能動的変革モデル「CRADLE MODEL」について紹介しました。

Connect(繋がる)→Realize(認識する)→Adapt(取り入れる)→Develop(発展させる)→Lead(引き起こす)→Evolve(進化する)の流れで、人や組織は変革を促進していくことができます。

https://note.com/yasutaka_eda/n/ncee401b995b2

 
今回はこのA:Adapt(取り入れる)について解説していきます。


学習とは、適応の繰り返しである

Adaptは、非常にシンプルな事象であり、人が新しいことを学ぶときに必ず起こるものです。それは学問的な学びでなくてもかまいません。
 
たとえば、氷の上を歩くこと。
 
氷で一度滑って転ぶと、「氷は滑るから危ない」と学習します。次回はその経験をもとに、転ばないようにどうしたらいいかを考えるようになります。考えた結果として、歩き方を変えたとしても、また転んでしまうかもしれません。しかし経験を積み重ねることによって、無意識かもしれませんが、成功する確率を上げていきます。
 
経験を積み重ね、行動を微調整をしながら「適応」を繰り返すことによって、精度を上げているのです。
 
当然はじめは、失敗するリスクが高いです。それが当たり前です。なぜなら持っている経験値が少ないからです。どうやって氷の上を安全に歩くことが出来るかを知らないのです。しかし経験値が上がれば上がるほど、失敗する確率が減っていきます。つまり、適応と失敗は逆相関関係にあると言えるのです。

経験値とリスクの相関関係

以下の概念図を見てください。横軸が時間の経過、縦軸が経験値とリスクの量を表しています。

それぞれのエリアごとに見ていきましょう。
 
① Un-Experienced Majority(経験してない多数派)
 
全体としてリスクが最も高く、経験が少ない人々を指します。
 
経験に基づく判断ができないため、トライアンドエラーを繰り返すことが多く、失敗をしながら徐々に適応していく人たちです。具体的には、子どもや社会人では新入社員などを指します。経験を積むことで、物事の成功率を高めていきます。
 
実は、組織にとってこのような分類の人が一定数いるのは、とても重要です。なぜなら、このような人々が、ときに偶発的に成功事例を生み出すことがあるから。固定概念にとらわれない発想から、思いがけない成功事例を生み出します。
 
以前のnoteでも、新卒採用の意義として、新しい発想や柔軟な発想を求めていると述べました。①の人たちには、即戦力として働いてくれることを期待するのでなく、発想力や固定観念にとらわれない考え方を求めているのです。
 
② Experienced Majority(経験豊富な多数派)
 
①の状態から経験を積み、②の経験豊富な多数派へと変化します。具体的には、中堅社員などを指します。ここに位置する人たちが一番多く、主流派と言えます。
 
この人たちは、経験値に基づいて行動するので、リスク回避的になります。「今までの経験から。こうすればうまくいくから」と定石を好んで動くようになるのです。
 
逆に言うと、新しいことに対して取り組むことを嫌う傾向になります。
 
③ Innovator(イノベーター)
 
少数派ではありますが、経験値は十分にあるけれども、意図的にリスクを取ってチャレンジし、成功事例を生み出す人たちもいます。
 
企業として意図的に変化を起こすこともありますし、ベンチャー企業を作る人たちも、このイノベーターと言われる層です。③に属する人たちが、成功の確率を高めて、世の中に新しいスタンダードを生み出していくのです。
 
①Un-Experienced Majority(経験してない多数派)が偶発的に生み出した成功事例と、③Innovator(イノベーター)が意図的に生み出した成功事例。これを②Experienced Majority(経験豊富な多数派)が学習して適応していくことで、組織は変革します。これはまさに、進化のメカニズムに近いものです。

経験豊富な多数派は変革の障壁となる

ただ、これは簡単ではありません。成功事例に多数派が適応すればいいのですが、②Experienced Majority(経験豊富な多数派)が最初にする行動は「否定」であるケースが少なくありません。
 
彼らには、これまでの成功事例があります。そこで新しい成功事例を持ち出されることは、いわば自己否定のようなもの。やってきたことが長ければ長いほど、固定観念を壊すのは容易ではありません。変革を起こす上での、大きな障壁になります。
 
前回のnoteで、能動的変革と受動的変革について語りました。偶発的に生まれた成功事例や意図的に生み出した成功事例、それらに適応すればいいのではないかと思うでしょう。しかし主流派の人たちは、固定観念のもと、YESと言わない抵抗勢力になるのです。
 
この抵抗勢力の人たちを指して「リジスタンス」と言います。
 
「リジスタンス」については次回のnoteで詳しく解説します。また次回、お会いしましょう。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?