剥製【詩】
わたしは心のなかで『イヤだ』と思っていました
でも みんなが当たり前のように 受け入れていました 生命は そのようにピンで固定する のではなく いつか消えゆく もの
わたしは目を逸らし
知らないフリをしながらお友達に電話しました
『ねぇ これ キミの家でも 同じように』
あまりに受け入れ難いので コトバも途切れとぎれでうまく伝えられません
だって まだ生きてるもん
まだ 生きてる
氷漬けにしたり
暖炉の火にあてたり
火薬なんかも使って
『あの子はすごい暴れてた』
思い出ばなしをしています
そんな朗らかに回顧するような ことですか?
今だって おんなじ どうして?
なぜ剥製にするの?
いたいよ あついよ さむいよ
……ここはどこ?
あんまり冷たくて 手足がもげたコウモリ
キミには 同情と 憐れみと もう死んでるか
迷い込んだだけなのにね
みんな気が狂ってしまった
こんな しきたり ウチにはなかったのに
剥製にすることが 無上の愛のように
なんで? ずっと土に埋めてたのに
ソレらがちゃんと完成したのかわからない
わたしは家を飛び出し
二度と帰らなかったからです
……でも あはは バカだね
どうしてこんなに清々しいんだろう
あの過程の痛みを 肌で感じていたのに
わたしは心のなかで
『よかった』
と思っていました
みんなバイバイ 辛かったね
その時の気持ち
忘れちゃダメだよ
ずっと