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中2病症候群 ① 〜万引きなんてやらねーよ!
これは、時代が昭和から平成に入って、間もない頃、ある中学校のありふれた日常を、綴った物語である。
この中学は、3つの小学校を卒業した生徒に分かれていた。僕らはその中でも、過半数を占める最大派のグループであったが、少数派の生徒から受けた影響は計り知れない。
それは中学生になるまでは、授業中に寝るとか、先生の話を聞かずにマンガを読むなど、あり得ないと思っていた。
ましてや先生から、注意を受けているにも関わらず、その友達は
「うるせぇ、バーカ!」
と言い返すのを見て、何というか、もの凄い衝撃を覚えた。
また、中学2年になって、塾に通い始めた。ある日、塾の帰りにスーパーへ寄り道をして、腹が減ったので、お惣菜を買おうとしていた。すると友達の真司が、
「この天ぷらをレジに並ばんと食べる方法、知っとるか?」
とニヤついた顔で聞いてきた。僕は少し困惑し、
「万引きはイヤだぜ」
と牽制して答える。しかし、真司は、
「万引きなんてやらねーよ」
と言って、海老の天ぷらを手でつかみ、なんと口の中に入れて、モグモグと食べてしまった。そして自慢げに彼は、
「な、盗んでないやろ?」
と僕にドヤ顔して見せたのだ。
少数派の学校では、これは万引きではなく、証拠も残らないという。
口の周りを油でテカらせ、残った海老の尻尾を、隣に並んでる惣菜コロッケの下に隠すのを見ていた僕は、
「コイツらの真似は絶対出来ない」
と心からそう思った。
続
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