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中2病症候群 ② 〜 ルーシー 〜
昭和から平成に、入って間もない頃、田舎町のとある中学校での、ありふれた日常を綴った物語である。
一時期、給食に細長くてパサついたお米が出ていた記憶がある。1993年、記録的な冷夏によって米不足になり、タイ米が学校給食に使われるようになったのだ。
それはさておき、中学2年になって外国人の先生が、こんな田舎の学校にやって来た。名前をルーシーという。
当時、恐らくほとんどの住民は、初めて見る異国のリアルな人物であっただろう。
彼女は並はずれて大きな体躯をしていた。中学校で1番大きい音楽の先生を、2倍は軽く超す体格をしていた。
華奢で背の低い英語の先生と、並んで教室に入ってくる様は、何とも滑稽であった。
「ハロー、エブリワン! ハウ アー ユー?」
と始まる授業でも、象使いが連れてきた象が気になって、英語どころではなかった。
ある日、同じクラスの真司と大輔がルーシーの下着について真面目に討論をしていた。まず真司が、
「絶対、ニシキヤで売ってないで」
と言うと大輔が、
「いや、1番大きいヤツで思いっきり伸ばせば入るんちゃうか?」
と、ルーシーのパンティーのサイズについて熱くバトっていた。そんな話の流れが近くにいた僕に飛び火してきて、
「タクはどう思うねん」
と聞いてきやがった。僕は、どうでもいいと思いつつ、
「実際に見に行けばええやん」
と提案し、「ニシキヤ」へ皆で行くことになった。
ニシキヤはこの町で唯一の洋服屋であり、中学校のすぐ隣にある。
制服を着た坊主頭3人が、婦人服売り場にある下着コーナーでパンティーを物色していた。そんな謎の3人組の行動に、店員さんが声をかけてきた。
「何かお探しでしょうか?」
その店員は、なんと幼なじみのオカンであった。
「あら、タクちゃん、何してんの?」
僕は凄く気まずい感じであったが、
「お、おう、おばちゃん、1番デカいのはこれか?」
と5Lって書いてある大きなパンティーを指差した。そして、店員のおばさんは、
「えっ、ええ。だ、誰かにプレゼント?」
と聞いてきた。僕が適当に誤魔化している間に、真司はデカいパンツのサイズを手で測り、すかさず大輔が、
「ほな、また来るわ!」
と何も買わずに僕らは店を後にした。
続
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