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パンチの不祥事 後編

中学の部活について書いている。
パンチパーマがトレードマークで、みんなからパンチと呼ばれる先生がいた。

徳島駅伝の監督で僕は中学1年の頃に出合ったのだが、隣の中学校で不祥事を起こし、その当時は役場の中にある教育委員会にいた。

僕は、そのパンチ先生を訪ねて

「県総体の3000メートル走で優勝したいので教えてほしい」

と頼み込んだ。彼はそれを、受け入れてくれて、放課後になるとグランドに立ち、ストップウォッチを押してくれた。

ここで少し、陸上競技の長距離種目の解説をしたい。僕が中学校の頃、3,000メートルがトラック競技では一番長い種目とされていた。

次に長いのが、1,500メートル。これは前編で書いたが、学年別に設定されていたので、この距離から始める人が多かった。

あと、中距離に属する800メートルがあるが、自分は一度も出場したことがない。

話を戻そう。町で唯一陸上競技の専門知識を、持つ先生の教え方は上手かった。

6月の県大会で2位。そして7月の県総体、3,000メートル走で、ついに優勝した。8月の四国総体は3位であった。

僕の自慢話はここまで。ここからはパンチの不祥事について書こうと思う。

長髪化問題というのが、当時この辺りの中学生にとって、トレンドになっていた。

男子生徒は全員丸坊主という校則があった。しかし、隣町の中学校は、これを廃止し髪を自由に伸ばすことを選択したのであった。

田舎の中学生あるあるだが、丸坊主の男子生徒に

「今日から髪型を自由にどうぞ」

といきなり言われても、時として迷ってしまう。

校則が長髪化となり2ヶ月が経った頃、一人のやんちゃな生徒が、あろうことかパンチパーマをかけて登校して来た。

当時の体育主任であり、生活指導も任されていたパンチは、中学2年にして自分と同じ髪型をした、その生徒に説教をする。

「お前には、まだ早い、早すぎる・・・」

ごもっともな意見だと思う。ついでにゲンコツを1発くらわした。しかし、それがやんちゃな生徒は気に入らなかった。

パンチが命の次に大事にしている、ベンツの愛車になんと、10円玉でキズを入れたのだ。

これに激怒したパンチは、体育教官室にその生徒を閉じ込めた。そして放課後、バリカンで彼のパンチパーマを丸坊主にしてやった。

この一連の出来事をその生徒の親か親戚が徳島新聞にタレ込み、後日、大きな記事になってしまった。そのことが原因でパンチは教育委員会に更迭されることになる。

ちなみに僕はその半年後に町役場の教育委員会にいる彼を訪ねるのだが、そこで出会ったパンチ先生の髪型は丸坊主であった。



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