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現場における意思決定の現実

往々にしてマネジャーは、オフィスにいながら、様々な出来事に何がしかの影響を与えるために、様々なことを行う。
「『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』 第2部 経営管理(マネジメント)はチーム・ゲームである」より

ミドルマネジャーのための不朽の教科書と言える「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」を元に、マネジメント/リーダーシップを考えていく連続投稿シリーズ第5回目です。過去分は以下のマガジンをご覧ください。

意思決定と権限委譲は0/1ではない

マネジャーにとって意思決定は非常に重要な活動の一つです。

右にいくか左にいくか、どちらももメリット・デメリットがある状態で、最後はマネジャーが決めなければならない―。

特にマネジメント経験の浅いうちは、意思決定とはこうした難易度も高いが、でも白黒スパッと判断する気持ちのよい?ものを想像するかもしれません。

ただ現場における意思決定はもう少し複雑です。少し長いですが、このニュアンスを記述した部分を是非ご紹介したいので本文より引用します。

たとえば、仲間に電話をして意思決定はこんなふうにしたらと提案したり、ノートやメモを送って状況に対する自分の見解を示したり、あるいは口頭でのプレゼンテーションの際にコメントを述べたりなどする。このような場合、マネジャーは自分として望ましい解決の仕方は主張はするが、指示や命令を出しているわけではない。
しかしやっていることは、単に情報を伝えるというよりは強いことである。これは個人あるいはミーティングを軽くつついて自分の思う方向に進ませようとするので、「ナッジング(突っつき、とか一押し)」と呼ぶことにしよう。これはマネジャーが常時行うきわめて重要な活動であり、確固として明確な指令となる意思決定とは慎重に区別しなければならない。

実際のマネジメントの現場では、事案ごとに担当メンバーの育成や当事者意識を損なわないための配慮も踏まえて、明確な指示命令とは違う形で方向付けをしていくことの方が多いのではないでしょうか?

実際自分はマネジャーになりたての頃、こうした意思決定への関与に関するある種の”グラデーション(中間的バランス)”、別の表現をすれば、”権限移譲の段階”を理解できておらず、自分が決めるか、完全に任せるか、という2択になってしまっていました。

今思うと、自分が結論を決定事項として落とした事案に関わるメンバーは、当事者意識も芽生えなかっただろうし、考える機会も部下から奪っていたことになります。また完全に任せてうまくいけばまだ良いですが、そうでない時に結局お互いにモヤモヤする結果になってしまっていた気がします。

その後、経験や他のマネジャーの振る舞いを通じて、私も徐々に学んでいくわけですが、それが上記引用にある「ナッジング」という関与方法です。

もちろん、相手を操作している感覚を感じられてしまうとマイナスの効果もありますが、部下の成長機会と当事者意識を喚起しながら、相手と状況に合った効果的な手段を用いて影響を与えます。こうして結果を良い方向へ導くというのは、リーダー/マネジャーにとって非常に重要なスキルなのです。

実はこの”意思決定のグラデーション”をわかりやすく具現化したものが、アジャイル開発の世界にあります。「デリゲーション・ポーカー」です。

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画像引用元:https://matsuoshi.hatenablog.com/entry/2017/05/17/000000

意思決定権限の在り方が7段階に分かれていて、プロジェクトにおける様々なタスクに関して、各役割の人の権限移譲の段階をメンバーで合意していくというような使い方をします。詳しくは以下の記事をご覧ください。

まずは意志決定権限の持ち方には、様々な段階があるということを理解しましょう。その上で、相手の力量やテーマや状況に合わせて適切な権限移譲段階を設定し、それを丁寧に実行するというのが、現場における理想的な意思決定の運用になります。

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以上、書籍「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」から、意思決定の権限移譲の現実とその運用について考えてみました。

このnoteが皆さまのリーダーシップ向上に貢献できれば幸いです。

(アイキャッチ画像:https://unsplash.com/)

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