メンバーを育てる質問
優秀なリーダーは、いい質問をする
~『リーダーシップ・チャレンジ 9章 力を与える』 より~
メンバーを指導することはリーダーの大きな仕事ですが、その指導に質問は欠かせません。
「リーダーシップ・チャレンジ」によると質問の効用は2つあります。
①自分の頭で考え、その人の見方で問題を整理する機会となる。
②説明責任を相手に課すことで、暗に相手の能力への信頼を示し、共通の解決策を生み出すことにつながる
この定義を参考にして、部下の育成につながる質問とはどういう質問なのかを考えてみます。私は以下の2つがあると思います。
①問題の構造を整理する質問
②解決策が最適かを考える質問
①問題の構造を整理する質問
物事が停滞しており現状の打開策を考えなければならない時、「現在の重要な問題は何だと思いますか?」という質問をしがちですが、このアプローチはまだ成熟していない部下の場合は注意が必要です。単に思い付きで言っている可能性があるからです。「熱が出ています」と言ったら「では風邪ですね」と即答するお医者さんなんて、怖くて次からいけませんよね。
その部下がどういう構造や視点でその問題を捉えているかを確認してあげることが効果的です。また部下がある特定の思い込みやバイアスに支配されている可能性もあります。
その場合は整理すべき論点を提示してあげることが効果的でしょう。
例:
「現状のPJの問題について、計画時と実行時の2つの観点で整理してもらえる?」
「顧客とパートナー、それぞれの立場から見るとこのPJはどう映っていると思う?」
ステークホルダー、時間軸、フェーズ、「ヒト・モノ・金」などの論点を指定して問題を整理してもらいます。「考える補助線」などと言ったりしますが、この問題の整理の補助線の使い方、質問への回答を通じて考えを導けた経験こそが、その部下の成長につながります。
②解決策が最適かを考える質問
問題が適切に整理できれば解決への道は大きく前進しますが、ここで特に注意したいのが、解決に使えるリソースが限定的になってしまっていないかです。
よくありがちなのが、「自分一人で解決しようとしている」ケースです。組織やチーム全体で見たときに、その問題を解決するリソースは他にないのか、視野を広げてあげる必要があります。
例:
「リソースの制約がないとしたら、どういう解決策が取れる?」
「もし君が私の立場だったら、どういう解決策を取ると思う?」
また問題解決のアプローチとして、一般的に権限がないメンバーであればあるほど、顧客、上司、他社、他部署など自分がコントロールできない相手に対しての交渉を嫌う傾向があります。問題をすべて自分がコントロールできるリソースだけで解決しようとしがちですが、過剰な負担を生んだり、問題を抱え込むことにもつながります。
ビジネスをしている以上、チームや会社全体を動かして問題を解決することが求められるという視点は、若いメンバーは気付けないことが少なくありません。リーダーが質問を通じて指導していくことが効果的でしょう。
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以上、メンバーを指導するのに効果的な質問について考えてみました。よろしければ皆さんのご意見も聞かせてください。
このnoteが皆さまのリーダーシップ向上に貢献できれば幸いです。
このnoteは?
リーダーシップに関する世界的なベストセラーである「リーダーシップ・チャレンジ」を読み進めながら、リーダーシップを「自ら実践するために学ぶ」べく、そのヒントを綴っていきます。
これまでのnoteはこちらのマガジンをご覧ください。
『リーダーシップ・チャレンジ』が示す「模範的リーダーシップの5つの実践と10の原則」
模範となる
1.自分の言葉で語り、共通の理想を確認することで、価値観を明らかにする
2.共通の価値観に従って行動することで、手本を示す
共通のビジョンを呼び起こす
3.心躍るような崇高な可能性を想像し、未来を描く
4.共通の夢に訴えて、人々を引き入れる
プロセスに挑戦する
5.自発的に行動し、革新的な改善策を外部に求めることで、チャンスを模索する
6.小さな勝利を積み重ね、経験から学ぶことで、実践しながらリスクをとる
人々を行動にかりたてる
7.信頼を築き、絆を強めることで協働を育む
8.意思決定の権限を与えることで、人々の能力を高める
心から励ます
9.卓越した成果を褒め、貢献を認める
10.共同体精神をつくりだし、その価値と勝利を讃える
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