YESの約束の数だけNOを言う
計画を立てる人間は、なんらかのプロジェクトを発表するばかりでなく、なんらかのプロジェクトをやめるわけだから、「イエス」と笑って答えるばかりではなくて、「ノー」と頭を振る気迫、正直さ、規律を身につけていなければならない。
「『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』 第2部 経営管理(マネジメント)はチーム・ゲームである」より
ミドルマネジャーのための不朽の教科書と言える「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」を元に、マネジメント/リーダーシップを考えていく連続投稿シリーズ第9回目です。過去分は以下のマガジンをご覧ください。
計画の3ステップ
計画の大切さを疑う方は恐らく誰もいないでしょう。
「いまでしょ!」ブーム(もう古い?)や、特にIT関連ではリーン&アジャイルなスタイルが広まっているとは言うものの、計画の重要性は変わることはありません。
組織マネジメントにおいても、プロジェクトマネジメントにおいても、そして自己管理においても、適切な計画から正しい実行が生まれることは間違いありません。
本書ではこの計画という行為を3つのステップに分解して、大きな考え方を示しています。
ステップ1:環境が要求するものを見極める
ステップ2:現状を把握する
ステップ3:2つのギャップを埋めるためになすべきことを決める
ステップ1は「目標の具体化」と言い換えても良いかもしれません。ある一定期間後の成り行きと目標とのギャップこそが、取るべき打ち手になるわけです。
不確実性の時代の中で、情報収集に明け暮れ過ぎるのは得策ではないですが、一定レベルの「環境要求の見極め」と「精緻な現状把握」は不可欠であり、多くの計画段階での問題は、この2点が課題になります。
計画段階での本当のボトルネックは?
ただより現場目線で言えば、計画作業における問題は、もっと違う部分で発生していると感じます。それは計画を立てる人間による「YESの大盤振る舞い」です。
基本的に、高い目標を立てることは、組織のパフォーマンスを高める上で非常に重要です。ただ何かに突き抜けるならば、何かを犠牲にする覚悟はどうしても必要です。それが冒頭の引用文の指すもので、顧客や上司といったよりパワーのあるステークホルダーに対して、YESを約束する分、それと同様にNOを言うことが重要になってくるわけです。
もちろん、リスクを取ることなく理由もなしに、NOばかりを言うマネジャーは信任を失うでしょう。
何にYESと言い、その代わりに何をNOと言うか
この駆け引きと見極めこそが、マネジャーの計画能力のすべてと言っても過言ではありません。そういう意味で、やるコミットメントと同じだけ、やらないコミットメントも意味を持つことになります。
周りは思慮の深さと本気度を見ている
もっと言えば、このYESとNOのせめぎ合いの中で上司や顧客と言ったステークホルダーとかわす本気のコミュニケーションこそが、計画の段階における最大の山場だと言えるでしょう。
・精緻な現状把握と予測を元に、その計画をどれだけ深く考えたのか?
・約束を守ることにどれだけ本気なのか?
これを周りは見ています。
圧力のある状態で、勇気をもって論理的にコミュニケーションする鍛錬は、マネジャーとしての自信をつける経験値となることは間違いありません。
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以上、書籍「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」から、計画におけるNOの重要性について考えてみました。
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