レバレッジ効果の高い作業に集中する
マネジメントの技術(アート)というのは、一見比較してみて同じくらいの重要度を持つ多くの活動から、テコ作用の優れたものをひとつ、2つ、あるいはせいぜい3つほど選び出して、それに集中する能力にある。
「『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』 第2部 経営管理(マネジメント)はチーム・ゲームである」より
ミドルマネジャーのための不朽の教科書と言える「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」を元に、マネジメント/リーダーシップを考えていく連続投稿シリーズ第6回目です。過去分は以下のマガジンをご覧ください。
マネジャーのアウトプットを高めるとは
前回のnoteでも触れた通り、マネジャーのアウトプットは、関係する組織のアウトプットで測るべきものです。本書ではこの状態をシンプルな数式で表現していてとてもわかりやすいので、引用してご紹介します。
注:A(Activity) =マネジャーが遂行する活動、L(Leverage)=活動のテコ作用
こう考えると、マネジャーの稼働単位時間のアウトプット、つまりマネジャーの生産性を高めるには、以下の3パターンあることがわかります。
1.マネジャー自身の作業の効率化
2.個々のテコ作用(L)の向上
3.よりアウトプットが高くなるLとAの組み合わせへの変更
1.は結局マネジャー個人の作業効率の話ですので、高ければ高いに越したことはありませんが、正直そんなに大きな結果の違いは期待できません。
それよりも注力すべきは、2と3となるでしょう。それぞれ見ていきます。
個々のテコ作用(L)の向上
基本的なアプローチが3つ紹介されています。自分なりに補足してご紹介します。
①大勢の人がひとりのマネジャーにより影響を受ける場合
・多くのメンバーの長期作業に対する精度の高い戦略・方針・計画
・テンプレートや標準フォーマット、ガイドラインの整備 など
②効果的な助言や示唆、動機づけ、背中を見せる行為で影響される場合
・人事考課、フィードバック
・組織の価値観、ビジョン、行動指針などの伝達
・模範となる振舞 など
③個人の持つユニークかつ貴重なノウハウや情報の発揮によって、組織の仕事に影響を与える場合
・外部人脈、プライシング感覚、特殊な製造技術、トラブル時の解決に向けた洞察力など
マネジャーが担当する様々な仕事それぞれに、上記のテコ作用(L)が定義されるわけで、その各値を高めることがチームのアウトプット向上につながります。つまりマネジャーとして成長するということになるわけです。
得意不得意もあるでしょうから、スキルを伸ばすにしても正直取捨選択は大事でしょう。それが次のお話に繋がってきます。
よりアウトプットが高くなるLとAの組み合わせへの変更
数式の定義から言えば、Lが最大のものに全投下時間を投入するのが良いことがわかります。
アウトプット(Max)= L (Max)× A(Max)
つまり、「一番テコ作用が高い仕事に集中する」という極めてシンプルな原則が導けるわけです。
ただ「どうしてもやらなければないない(と思っている)」仕事が、マネジャーには多々あって、結果冒頭の図のような、複数のLとAからなる多項式になってしまいます。
アウトプットのレバレッジ効果(テコ作用というのがちょっと言いにくいので)の高い仕事を多くても3つに絞り、そこに時間資源の大半を投下できるように自分をコントロールできるかが、著者がいうマネジメントのアートであるというのは、自身も非常に共感するところです。
緊急度の高い仕事との闘い
とはいえ、マネジメントの現場では、【緊急】という「悪魔のラベル」を付けて様々な雑務が降り注ぎます。こうした中でどうやってレバレッジ効果の高い仕事に注力していくか?これは本当に難しい問題です。
まずは現状を認識することから始めることをお薦めします。自身のやっている仕事を洗い出して、テコ作用を5段階評価でざっくりつけてみましょう。
そして理想的な時間配分のイメージが出来上がれば、あとはそこにどうやって近づけていくかを丁寧に課題化していくアプローチが取れるはずです。
「レバレッジ効果の高い作業に集中する」
非常にシンプルなこの行動指針は、組織をマネジメントする上で非常にパワフルな原則です。是非普段から意識するようにしましょう。
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以上、書籍「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」から、マネジャーのアウトプットとレバレッジ効果について考えてみました。
このnoteが皆さまのリーダーシップ向上に貢献できれば幸いです。
(アイキャッチ画像:https://unsplash.com/)
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