目標管理は誰のためか?
MBOシステムの意図はひとりの人間のペースを設定すること――ひとりの人間が自分の手にストップウォッチを持ち、自分の業績を測定できる――にある。
「『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』 第2部 経営管理(マネジメント)はチーム・ゲームである」より
ミドルマネジャーのための不朽の教科書と言える「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」を元に、マネジメント/リーダーシップを考えていく連続投稿シリーズ第10回目です。過去分は以下のマガジンをご覧ください。
MBO(目標管理)の課題
日常業務の目標をより具体的にして、人事評価の仕組みに活用しようとしたのがMBO(Management By Objective:目標管理)システムです。
絶対的な達成基準が、客観的な指標で表現されるため、評価における曖昧さを排除できる意味で、多くの場面で活用されています。
ただ以下のような弊害も指摘されています。
・目標で指定した指標に貢献すること以外はやらなくなる
・上司部下のコミュニケーションが指標に関連する短期的なイシューにフォーカスされがち
MBOならコロンブスはマイナス評価?
文中で面白い話が出ていました。新大陸を発見したコロンブスがスペイン女王からMBO評価を受けていたら?という仮定のお話です。
東洋への安全貿易ルートを開拓するという当初の目標は未達でした。ただ代わりに新大陸を発見したという特筆すべき成果をあげています。この場合は、コロンブスはどういう評価を受けるべきなのでしょうか?答えは自明ですね。
より本質的な目的や成果(アウトカム)を常に合意しながら、必要に応じて結果(アウトプット)の目標やマイルストンを適切に調整する柔軟性も持ち合わせる必要がある、という好例かなと思います。
本当はコロンブスのストーリーにはもっと違うドラマがあるのでしょうけども、今回はあくまでも例えば話としてご理解頂ければ幸いです。
目標管理は誰のためか?
結局、MBOを「上司が評価をしやすくするため」というだけの理由で運用すると、本質を見失いかねません。部下も努力の方向性も間違う可能性も高くて、結局誰も得しないんですよね。
同様にOKRを運用する場合も含めて、あくまでも目標とマイルストンの目的は、第一義的には本人のペーシング/目標達成力の向上であるべきです。マイルストンを具体化することで、定期的に自分を自分で評価し、必要に応じて問題解決が出来る状態を促す仕掛けをサポートすることが上司の役割なのです。上司が部下の評価を楽するため、という考え方では決してうまくいきません。
このあたりの考え方は、以前書いた以下のnoteも参考にしてみてください。目標の具体化は評価する上司のためではなく、本人のためであるべきです。その考え方を部下に馴染ませることこそが、上司の仕事なのだと思います。
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以上、書籍「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」から、個人目標は上司が部下を管理するためではなく、本人のためであるべきだということを考えてみました。
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