抽象度の高いスキルを学ぶコツ
「リーダーシップ」というテーマについてnoteを書き出して約3か月が経ちます。普段から意識せざるを得ない方はもちろんのこと、普段そういう立場にない人達にこそ広く知って欲しいと思いはじめました。現職における自身の役割に直結するテーマでもあり、書くことで様々な気付きも得られるので、今後も続けていきたいと思っています。
ところでリーダーシップ」を学ぶとはどういうことなのでしょうか?
それは自分なりの「型」や「原理原則」を手に入れ実践できるようになることに他なりません。それはつまり、置かれた状況や問題というインプットに対して、適切な方針や行動をアウトプットできるようになることを目指すということです。
一方で、「リーダーシップ」に関しては書籍も多く出ているものの、「本とか記事読んでわかった気になっても意味がない」「経験しながらでないと身につかない」という意見の方も一定数いるのではないかと思います。
こうした意見について自分なりの考え方を紹介させてください。
結論:本からも実践からも沢山学習する元ネタを集めましょう。そこから学んだ原理原則は唯一絶対万能とせず、複数を組み合わせて使いましょう。
「バイアス」と「バリアンス」
ちょっと話がそれますが、機械学習(AIを実現する技術)の精度を説明する際によく出てくる用語に「バイアス」と「バリアンス」という言葉があります。以下の説明と図をご覧ください。
バイアスは実際値と予測値との誤差の平均のことで、値が小さいほど予測値と真の値の誤差が小さいということになります。対してバリアンスは予測値がどれだけ散らばっているかを示す度合いのことで、値が小さいほど予測値の散らばりが小さいということになります。
引用元: https://www.codexa.net/what-is-ensemble-learning/
精度の高いAIというのは、④のように中央の赤丸に予測が集まっている状態、つまりバイアスもバリアンスも低いものを指します。
詳しいお話は上記の引用元であるこちらのページをご覧いただきたいのですが、要点を抜き出しますと
・そもそも学習精度が低いのは問題外(青点が外側にある①や②)
・精度を上げようと学習し過ぎると、学習した元ネタ自体の分布に似てしまい、③になる傾向がある。(この状態を過学習と言います)
・バイアスとバリアンスはトレードオフになりがち
つまりこれはどういうことかというと
・理論からであれ実践からであれ、学習してない状態(つまり自己流)ではそもそも正しいやり方は生まれにくい(バイアスが高い)
・かといって理論や実践のどちらかを過剰に学びすぎると、学んだ内容や事例に偏った考え方になってしまう可能性がある。(バリアンスが高くなる)
ということを意味します。
AIの世界ではどう解決しているのか?
こういった状態を解決するために、AIの世界では「アンサンブル学習」や「ホールドアウト法」「交差検証法」といった手法をとります。
学術的正確性を無視して要約すると、「アンサンブル学習」とは、予測モデルを複数用意してそれらを混合することで各モデルのバランスを取る方式です。
引用元: https://www.codexa.net/what-is-ensemble-learning/
「ホールドアウト法」「交差検証法」とは、学習するデータを分割して活用することで、学習対象データへの学習依存度を下げる方法です。
引用元:http://vertica-tech.ashisuto.co.jp/cross_validation/
つまり意訳すれば、学習データをより多面的にかつ多段階に学習するというアプローチをとっているわけです。
我々はどう学ぶべきか?
こうしたAIの精度向上の手法を踏まえると、以下のような示唆が得られます。
・理論だけ又は実践だけという学習対象を依存する方法は間違った考え方を生み出しやすいので、より幅広い学習データを集める。
・学習した結果、ある固定した「原理原則」を持ちすぎると、アウトプットが偏る可能性が高いので、複数の「原理原則」を組み合わせて考えるアプローチも有効
つまり、自分なりの結論は以下です。
1)書籍だけ、経験だけと偏ることなく、そのどちらも活用しながら一つでも多くの事例や知識を吸収し学習対象としていくこと。
2)ある具体的な学習データから一般化した「原理原則」を導くことは大切だが、決して排他的にならないこと。多くの原理原則を打ち立て、複数の原理原則を組み合わせながら、その状況に合った決断を下し行動すること。
上記の考え方から、より多くの方に一つの多様な学習データの一つとしていただくために、このnoteを書いています。どんな状況にも万能な唯一絶対の原理原則などは存在しないので、これも一つの元ネタぐらいに考えて頂いて、皆さんに自分なりの原理原則を多く学び打ち立てながら、都度都度それらを組み合わせて判断を下すことを前提として頂ければと思います。
そしてこの考え方は勿論リーダーシップだけではなく、マネジメントやコーチングといった抽象度の高いスキルを習得する際には広く言えることだと思っています。
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以上、抽象度の高いスキルを学ぶ際に気を付けたいことについて考えてみました。よろしければ皆さんのご意見も聞かせてください。
このnoteが皆さまのリーダーシップ向上に貢献できれば幸いです。
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