け (青森ことばの詩)
雨 ふってあった
たんげむがし
ワァがわりがったんだばって
それがわがねがった
めぐせぇごとだ
泣いでばっかりいで
だんもかんも傷つけで
幼さば理由さして
めぐせぐ生ぎできた
変わりてぇって思った
ワァはワァば好ぎになりて
好きさなれるワァさなりてって
雨 ふってあった
したばって しらねうぢに
あおい空があらわれで
本当のごとば教えでけだ
けっぱれ わらえ
いぐなっていぐんだはんでって
声っこ聞こえで
ワァはそのうぢに
笑えるようになっていった
ワァもナさ
話してけるね
け 腹いっぺ け
嘘でねごと 腹いっぺ け
けねってが? いが よぉぐ聞げ
けネ なんもけァねエごとだじゃ
ずるスねで生ぎでれば
しらねうぢに本当のナさ戻れるはんで
けっぱれ わらえ
なんもかんも
いぐなっていぐんだよ
嘘でね ワァもナも この国も
この星も この銀河も
なんもかんも いぐなっていぐんだ
雨、ふってあった
それももう たんげ むがしのはなしよ
《東京ことば翻訳ver.》
け (食べなさい)
雨が、降っていた
すごく昔
私が悪かったんだけれど
それがわからなかった
恥ずかしいことだ
泣いてばっかりいて
誰も彼もを傷つけて
幼さを理由にして
恥ずかしく生きてきた
変わりたいと思った
私は私を好きになりたい
好きになれるような私になりたいと
雨が、降っていた
しかし知らぬうちに
碧い空が顕れて
本当のことを教えてくれた
がんばれ わらえ
良くなっていくんだからと
声が聞こえて
私はそのうちに
笑えるようになっていった
私もあなたに
話してあげるね
食べなさい
お腹いっぱい食べなさい
嘘じゃないことをお腹いっぱい食べなさい
食べられないって?
良いか、良く聞きなさい
心配ないよ たやすいことなんだ
ずるをしないで生きていれば
知らないうちに本当のあなたに戻れるから
がんばれ わらえ
何もかも良くなってゆくんだよ
嘘じゃない
私もあなたも この国も
この星も この銀河も
何もかもが 良くなってゆくんだ
雨が、降っていた
それももう すごく昔の話だ
[青森弁監修: 安田カツヤ氏]