運命はどこにでも転がっている 第1話
瞳がその姿を捉えた瞬間、目が離せなくなった。見慣れたはず世界が、さっきまでとは全く違う彩りに変わる。月曜日のかったるい通勤電車から、突然別世界に放り込まれたかのようだ。俺は自分の目を擦り、再び彼を見つめた。
そこにいたのは大学生くらいの男だった。整ってはいるが、どこにでもいそうなタイプ。なのに、俺の目は何故だか彼を追いかけてしまう。
軽くパーマがかかった髪に長い睫。印象的な瞳はスマートフォンを見つめている。耳にワイヤレスイヤホンを着けているから、音楽でも聞いているのだろ