中学受験と思春期
東京では中学受験が始まりましたね。
以下の文章は数年前にブログ(現在休眠中)に載せたものなのですが、今も結構読まれているようなので一部修正してこちらにも。
東京で子育てをしていると、「幼稚園、小学校受験、そして中学受験、するのかしないのか?」という選択に迫られます。
私たち夫婦は二人とも地方出身(ましてや私はド田舎)で、中学受験など無縁でしたが、その選択に昨年直面しました。
その時に息子を中心としたドラマが展開され、私も多くを学んだし、何より息子の強さも思い知らされました。
そのエピソードもお伝えしたいところですが、息子の許可はおりないので、この物語は私たち家族のスペシャルなものとしておきます。
そして、今年も中学受験の時期が終わりました。
どこに合格したかももちろん大事なのだと思いますが、その受験の経過の中で「その子と家族がどういう物語を体験したか」ということが、長い人生からみたらとても大事なことのように思います。
どうぞ受験が終わったご家庭は、ダメ出しではなく「あの時は苦しかったけど頑張ったね」とか「あそこで成長があったね。」と、結果に関係なく自分たちの物語を振り返ってみてください。
長く付き合いがあるママ友から
「第一希望でなかったけど、本人も満足しているし、私たちも受験してよかったと思う。」
とメールをもらいました。きっとよい経験、よい物語がそのご家族にあったのだと思います。
「親にやらされてきた」と思う人生はつらいです。
「自分の思うようにさせてもらえなかった。」と思う人生も。
カウンセリングをしていると、親との課題を抱える人は多いです。40 代、50 代になってもです。
そして、どんなに外から見たらエリートでも例外ではありません。
「親のせいで自分の人生を生きてこられなかった。」
という強い思いを持っている方も多いです。
「自分が何を望んでいるのかわからない。」
「自分を大切にするということが何かわからない。」
と言われる方も多いです。
私はカウンセリングの中で共にいて、
その方がその方らしく人生を歩んでいくお手伝いをしていく訳です。
医大で教えている知り合いが、
「親の勧めで医者になるレールを走ってきて、大学で行き詰まる学生も多い。」とのこと。
「他の学部を卒業したり、社会人をやってから”やはり医師になりたい”と入学してきた学生は強い。」
そんなことも聞きました。
基本は自分で選択して自分でやる!!親はそれを見守っていくのが仕事かなと思います。
もちろん子どもなので、視野を広げたり、知恵を与えることも必要だと思いますし、度を超したら制限するのも必要です。
そして、「本当にいつかやるのか~?やる気スイッチはいつONになるのか」と不安になりながらもです。
でも、そういう時に思い浮かぶのは、赤ちゃん時代に子どもが初めて自分で歩いた時の誇らしげな顔や、幼児期、ちょっと高いところから飛び降りられた時の顔です。
うちの場合は、ダンゴムシがたくさんポケットに入れられた時の顔とか。
何度も得意気に繰り返しますよね。「やれた!」というキラキラ感が半端ない顔です。
そう、”どや顔”。子どもはそういう経験を繰り返し積み、成長していくのだと思います。
もちろん失敗もあるでしょうが、「自分でやった!」という思いがなければ立派な社会的な肩書も本人にはそんなに意味がないのかもしれません。
そして失敗したら親のせいにしたくなるでしょう。
これは中学受験に限りません。
「80点でも90点でも関係ない。100点でなければダメ。」
とダメ出しされた子どもは、次第に努力することをやめてしまいます。「どうせ無理」と。
そして、中学受験の時期、子ども達は思春期に入ります。うちの息子もその兆しがあります。
きっと彼の中にはダイナミックなエネルギーと繊細なエネルギーが混ざり合っていることでしょう。
でもそれは彼だけの聖域。親も踏み込むことはできないと思っています。
昔は「男の子は単純で透けるようによくわかる」と思っていたけれど、だんだん見えないところも出てきます。
でも、それもそれでよし。「面白い時期に突入したな。」と思っています。
お子さんたちが自分の人生を生きられる人になりますように。