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「八犬伝」は虚と実に関する哲学的な問いを投げかけてくる!
八犬伝を見ました。この映画は、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』をベースにしながら、馬琴自身の人生や創作の苦悩を織り交ぜた作品になっています。ファンタジーの世界だけでなく、それが生み出される背景や作者の葛藤を描くことで、単なる時代劇や冒険活劇にとどまらない奥深さがありました。
特に印象的だったのは、馬琴と葛飾北斎、そして歌舞伎作者・鶴屋南北との対話です。創作の苦しみ、現実と虚構の狭間で揺れる作家の姿が生々しく、単なる歴史映画や伝記映画とは一線を画す内容でした。「何が虚で何が実なのか?」という問いかけが随所に散りばめられ、物語の中で正義が勝つことの意義を考えさせられます。一方で、馬琴自身の人生にも不条理な出来事が次々と降りかかりながらも、彼が生涯をかけて作品を完成させる姿には、創作における執念や継続の尊さがにじみ出ていました。
物語の終盤には、実際の馬琴の生涯をベースにしたエピソードも描かれています。彼の創作の最終章が、どこまで真実なのか曖昧なまま進んでいくのも、この映画のテーマである「虚と実の交錯」を象徴しているようでした。ファンタジーパートのSFXはややチープな印象もありましたが、あくまで寓話的な世界観として楽しめるつくりでした。
以下は、映画情報です
タイトル: 八犬伝
公開年: 2024年
監督: 曽利文彦
原作: 山田風太郎『八犬伝』
主演: 役所広司
キャスト:
• 内野聖陽
• 土屋太鳳
• 磯村勇斗
• 黒木華
• 寺島しのぶ
概要:
江戸時代の作家・滝沢馬琴が生み出した伝奇小説『南総里見八犬伝』を題材に、物語世界と創作の舞台裏を交錯させて描く。馬琴が構想する「八犬士」の戦いを軸にした冒険譚と、彼自身の執筆活動の苦悩や人間模様が並行して進行する。視力を失いながらも作品を完成させようとする馬琴の姿が、創作にかける情熱とともに描かれる。
歴史ドラマとファンタジー要素が融合した作品で、壮大な物語の世界観と、馬琴を取り巻く人物たちとの関係が見どころとなっている。
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