色彩の手帳を読んで色を楽しもう
色彩の手帳を読むと、建築や都市や風景の色を見るの
が楽しくなる。秩序のある風景。多様性のある色合い。
情報から文脈が発生し意味づけられる色がもたらす
役割。街の色を観察することで、新たに見えてくる色。
拠り所となる色。色と色彩は、音と音楽のようにとも
例えられている。様々な気付きを与えてくれる書籍だ。
改めて5月に訪れた壱岐でみた色を振り返ってみる。
壱岐島にはいろんな色が溢れていた。印象的な空と海。
金色に輝く大麦の風景や、複雑に積層する緑の風景。
自然界の美しい色は地となり、図の色を際立たせる。
その風景の一部となる建物。その建物に使われる色、
インテリアや小物の色など、さまざまな色使いがある。
そして学んだ色彩の手法によって、色彩を読み解いて
みよう。題材はSHOW-GOのMV。効果的な色使いが
なされている。SHOW-GOは世界的に有名な日本の
ビートボクサーである。その圧倒的な世界感が美しい。
音色と色彩が織りなす、鮮やかな世界に引き込まれる。
背景の時を経た建物、朽ちた木材、樹木の色が微妙な
グラデーションを構成している。鮮やかに映える緑
と華やかさを添える桜の色。そしてそれらと一体感の
あるSHOW-GOの衣装。黒い上着は、窓の影にも合う。
さっぽろテレビ塔の鉄のくすんだ赤色と外壁の水色。
緑のツリーに赤い色のハートが取り付けられている。
いろんな色の中にそれらと色をあわせつつも調和する
カーキ色の上着。それにしても絶妙な角度と風景だ。
ここは、重森三玲作 波心庭を望む東福寺塔頭 光明院。
柱の前に坐るSHOW-GOの黒い衣装が際立っている。
衣装の中に背景に合わせて色が取り入れられている。
中央から、三方に放射するラインの構図がおもしろい。
SHOW-GOというアーティストのMVには、センスが
溢れている。しかし、その前提にあるのは、この驚異的
なビートボックスだ。SHOW-GOから放たれる多様な
音は色みを帯びている。色がグラーデーションを持つ
ように、その音色も色彩のように変化に富んでいる。
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