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2021年12月内観研修レポート

内観研修というものに一週間行ってきたのですが、とても素晴らしかったのでレポートを書きました。少し長いですが、お読みいただければ嬉しいです。

■内観研修とは何か?

内観研修とは、ずばり屏風で区切られた畳半分ほどのスペースで1日15時間、ひたすら自分と向き合うという修行のようなものです。

その時の部屋の様子がこちら。

私が今回こもったお部屋。6畳の部屋ですが、参加者がたくさんいると相部屋になるそうです

この奥の屏風の中に、1日15時間近くを過ごすのですが、しかも、驚くべきはスマホやPCは最初に預けて一才のデジタル禁止です。それどころかメモを取ることも禁止なのです!

屏風の中では、大体こんなイメージです(これは最終日に帰る前にスマホを返却してもらって再現写真を撮りました)。

こんなふうに背筋を伸ばして、一日位られたらと頑張るのですが、実際は眠くたなったりして下記みたいな体育座りが自然と多くなりました。

ちなみに1日のスケジュールはこんな感じ。

こんな感じで起きたらすぐ内観、食事も屏風の中に配膳され、中で食べます。とにかく寝ても起きても内観しているのです。

食事はとにかく美味しかったです。私が行った栃木の「瞑想の森内観研修所」では、自分のところで野菜も栽培していると聞きましたが、野菜にパワーがあるというか、サラダが本当に美味しかったのを覚えています。

とにかく寝ても覚めても内観で、お風呂の交代制で時間が決められているのですが、基本は誰とも会わないようにプログラムされていて、面接という時間ですら、面接者の所長さんとは目線が合わないので、大袈裟ではなく誰とも目線を交わさない1週間を過ごしました。

■内観とは実際にどんなことをするのか?

さて、ここからは内観を具体的に説明していきます。

内観は、自分のこれまでの人生を、以下の三点についてひたすら内観していく

・自分がしてもらったこと
・自分がして返したこと
・自分が迷惑をかけたこと

また、大きなポイントとなるのが、自分の身近な人を始め、誰か1人との関係性において、過去を内観していくことです。

最初は、最も結びつきが強い母に対して、およそ自分の人生を3年ずつなどに区切って、上記の3点を思い返していく所からスタートします。

例えば「0〜3歳」「3歳〜6歳」「6歳〜9歳」という風に、家を出るまでの間を3年区切り(家を出てからは自分の設定次第で5年ごとや10年ごとでも構わない)、ひたすらに母との思い出を思い返していくのです。

ちなみに0〜3歳の記憶があまりない人は、最初を0〜6歳でもいいということで私はそうしました。

「0〜6歳」「小学校前半」「小学校後半」「中学校」「高校」「大学」「20代後半」「30代前半」「30代後半」「40代前半」という感じで、全部10ブロックに区切って、母親→父親→弟と見ていったのです。
(面接は一週間の研修の中で39回ありますので、大体家族+αについて内観していきます。人によっては配偶者や上司など、自分にとって重要な人との関係性、あるいは「嘘と盗み」といったテーマで、同じくらいのスパンで自分を調べていくといったりもできます)

面接というのは、所長の清水さんや奥様が担当してくださり、面接の時間になるとおよそ3分ほどの時間に、こちらから思い返したことを報告していく時間です。しかし、面接者はそれに対して何か意見を言ったり評価したりすることはなく、あくまで聞き手としてに徹しているのが印象的でした。

さて、実際、1日15時間もの内観をしているというのは、どんな体験なのかということですが、狭い屏風の中で、この内観と面接を繰り返すことで、次第に過去の記憶が鮮明になってくるから本当に不思議です。

私の場合で言えば、少なくとも「退屈」に時間が過ぎるということは全くなくて、集中力に波はありますが、乗ってくると「内観ハイ」のような状態になり、あれは本当に不思議な感じです。

いわゆる「フロー」とか「ゾーン」状態に近いものだと思います。ここで自然と「夢中」という言葉が出てこないのは、やや受動的な感じだからかもしれません。

意識的に、水分はたくさん取り、トイレの回数は多かったので、それが気分転換であり、また屏風の中に巣ごもりする前に、軽くストレッチしたりしている感じでした。(お茶はポットで用意されており、たくさん飲みました。トイレは面談が終わったら、毎回息抜きも含めていくというリズムになっていきました)

洗面所にこうしてお茶が用意されています
トイレはとてもキレイなので嬉しかったです

この内観研修では、自分が迷惑をかけたことを思い返すことに主眼が置かれています。自分にとって都合の悪いこと、情けなくて思い出しくないことなどに向き合うことで、自分との深く向き合うことができるのです。

またそれを通じて、社会との関わりをも見直すことなり、時には周りの愛情に支えられて生きてきたことに感謝の念が強まる、というのが内観研修の趣旨だと感じました。「愛情の落ち葉拾い」という言葉で説明されたのですが、落ち葉のように記憶の片隅にあるかないかの瀬戸際のものを、穏やかな時間の中で、丁寧に拾っていくのです。

自分の過去を思い出していると、いろいろなシーンが思い返され、そこに今まで気づかなかった相手側の愛情を感じると、時に涙が出るほどに感極まりします。

あまり具体的には書きませんが、自分が迷惑かけたことやしてもらったことをこれだけ集中して思い出す時間は本当に貴重だと思いました。

1週間の研修を終えた人は、ほとんどの人が「清々しい」「心の大掃除ができた」というような感覚を持つといいます。実際、私もそうでした。

これまでの過去において自分への理解が深まることで、過去の何1つ無駄ではなかったという気づきを得られる人が多いそうです。それは同時に、未来は何1つ無駄ではないという確信に繋がり、それぞれの新しい生活へと戻っていくのです。

■内観はこんな人に向いている

家族との関係性を軸に自分の人生を振り返っていくのですが、その意味で、家族との間に問題が多かった人の方が、気づきや変化が大きいのではないかと思います。

また、内観は心理療法としても実績があり、実際「日本内観学会」は、多くの医師や研究者によって構成されています。いわゆるトラウマ的なものを、自分の中から解決に導く方法として有効なのだろうということはすごく感じました。

■内観によって創造性はどう高まるのか?

そんな「内観研修」ですが、ここからは私のライフワークである「創造性」に引っ掛けて少し書きたいと思います。

私は、今回の内観研修に参加するにあたって、自分の内的CQ(自分が本当に望んでいることは何か)を深めたいという思いを持っていました。

その意味では、家族や身近な人との過去の関係性だけに意識を向けるのではなく、自分の創造性のルーツに目を配りたいという意識があり、最初は家族のことばかり考えることに若干の抵抗がありました。

しかし、次第に色々な角度から自分の人生を振り返るという意味で、次第にコツが掴めてきて、対象となる人を軸にしつつ、時にはもう少しイメージする領域を広げたりしていきました。

例えば、自分が最初に感動した瞬間はいつだろう?という意識を片隅においておくと、小さい頃に毎週一冊と決められて渡されていたディズニーの絵本をどれほど楽しみにしていたかなどを、母や父との関係性との間に思い出していたったりという具合です。

また私は自分の外的CQを
・果たして人を感動させるストーリーを作れるのか?
・果たして創造性とは何かを解き明かすことできるのか?

内的CQを
・自分をさらけ出したい

世界観を
・世界は矛盾している(その矛盾を肯定したい)

というような感じで持っているのですが、それらの結びつきや一つ一つの精度をいかに深められるかはずっと意識していました。

最初は教え通りに家族一人一人に集中し、後半や最終日などは、できるだけ未来と過去を同時に捉えるような意識で、点と点を結べないかをイメージしていった気がします。

内観も後半になってくると、情報の遮断具合から、良い感じで意識レベルが落ちてきて、普段の日常のような外部にアンテナが張りまくっている状態ではなく、大袈裟に言えば、夢を見ているような意識状態に近くなってきます。

顕在意識と深層意識のあわいの「変性意識」状態というやつです。この意識状態は、深層意識に届きやすく、クリエイティブに集中する時に近い意識状態です。

しかも情報を遮断しているので、イメージ能力が格段にアップしてきて(ノイズが走らないという感じです)、自分の過去のある時点をイメージすると、その時点をだーっと早送りで流して、時には止めて再生みたいな感じでイメージできるようになったりできます。あれはすごいと思いました。そのくらいになると、その状態が心地よくて、自分が屏風の中に居たくなるのです。

このような研修生活の中で、自分の内的CQに関しても深めることができ、それはまた別の機会に書こうと思っているのですが、それだけではなく「感動とは何か?」「創造性とは何か?」などのテーマも自分なりにアップデートできた気がします(先日、ストーリーラボの方では、それを配信で話したのですが、もう少し精度良くまとめて、いつか別の形で発表したいと思います)。

■まとめ

内観研修所は実は全国にたくさんあって、ほとんどの都道府県にあるのではないかと思います。

検索すると下記のようなリストもありました。

私が訪ねたのは、下記の栃木の「瞑想の森内観研修所」です。

所長の清水康弘さんは内観学会の理事もされており、上記ホームページはとても分かりやすく説明されています。またホームページの中にある、内観に関する記事のまとめを読むと一層、内観についての理解が詳しくなると思うのでお薦めです。

個人的には、30歳くらいでいくと、一番良いのではないかと思いましたが、複数回行くたびに、内観は違う体験になるそうなので、いつかまた訪れてみたいと思っています。

何より日々の生活での「内観」を心がけようと思いました。「内観」とは記憶に対して問いを投げかける行為とも言え、私の中では、本でも結論として書いた「問いを愛する姿勢」につながります。

『「物語」の見つけ方 ー夢中になれる人生を描く思考法』

なかなか一週間は休めないと思いますし、確かにタフな修行という感じです。ただ一生に一度は行く価値があると断言します。私にとっては、1ヶ月の世界一周旅行と同じくらいの体験だったと言えるかもしれません。

体験は主観的なものなので約束はできませんが、ただ、時代的にもこのような内観的な体験は、その価値が高まっている気がします。

ぜひ、自分の中でそのようなタイミングが訪れたら、内観研修に参加してみてください。

追伸
ちなみに参加される方には、少しアドバイスしたいことがあります。一度下記からコンタクトください。
http://nemeton.jp/contact/


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