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「2月22日 猫の日」商戦の盛り上がりが起きている理由とは


1. 猫の日商戦が加熱する背景

近年、2月22日の「猫の日」商戦が大きな盛り上がりを見せています。もともと1987年に制定された記念日ですが、ここ数年で市場の注目度が急速に高まっています。その背景には、いくつかの要因が考えられます。

一つ目は、バレンタインデー商戦の勢いが鈍化していることです。2月14日のバレンタインデーは、日本でも長らく重要な消費イベントでしたが、近年は「義理チョコ文化」の縮小や、消費者行動の変化により、以前ほどの盛り上がりを見せていません。そのため、小売業界は2月後半に新たな商機を求め、「猫の日」を大々的に打ち出すようになったと考えられます。

二つ目は、ペット人気の高まりです。日本国内における猫の飼育数は約900万頭で、犬の約680万頭を大きく上回っています。ペットの家族化が進む中で、猫に関連する商品やイベントが消費者の関心を集めやすくなっているのです。
個人的には、犬好きの私としては猫の日ほどは盛り上がっていない「犬の日」(11月1日)ももっと盛り上げてほしいなと思います。

2. 企業の積極的なマーケティング施策

2025年の「猫の日」商戦では、大手コンビニ各社が積極的に取り組んでいます。

  • ファミリーマートは、「ファミリ~にゃ~ト大作戦!」として、過去最多の21種類のオリジナル商品を展開しました。人気イラストレーターによる猫デザインのパッケージや、「てぃにゃみす」「にゃんともおいしいチーズケーキ」など、可愛らしいネーミングの商品が特徴です。また、ヤマト運輸とコラボした「クロネコとシロネコのビスケットサンド」なども販売し、話題を呼んでいます。

  • セブン―イレブンは、2024年の2種類から、2025年は14種類に大幅拡充。「にゃんこ発見!」というテーマで1か月間の販売キャンペーンを展開し、猫の肉球をモチーフにしたデザートなど、ユニークな商品開発を進めています。

  • ローソンは、黒猫をモチーフにした「黒猫グミ ミグたん」を販売し、ナチュラルローソンでは「猫の日フェア」を開催。ナショナルブランド(NB)商品の取り扱いも強化しています。

これらの企業の施策を見ると、単に猫を飼っている人向けの商品にとどまらず、猫を飼っていない消費者層にもアピールできる可愛いデザインやネーミングが工夫されていることが分かります。

3. 記念日マーケティングの成功例

「記念日を商業的に創り出す」という手法は、決して新しいものではありません。バレンタインデーやホワイトデー、土用の丑の日など、多くのイベントが商業的に拡大されてきました。「猫の日」もその一例といえるでしょう。

近年はSNSを活用したマーケティングが記念日商戦の盛り上がりを加速させています。「#猫の日」 というハッシュタグは毎年トレンド入りし、企業もこれに合わせたキャンペーンを打ち出しています。消費者自身が「猫の日」に関連する投稿をシェアすることで、企業の商品やサービスが自然に拡散され、商戦の熱を高めています。

また、企業同士のコラボレーションも増えており、ヤマト運輸とファミリーマートの「クロネコとシロネコのビスケットサンド」 のような異業種コラボも商戦の活性化に寄与しています。

4. 今後の展望

「猫の日」商戦の広がりは、今後も続いていくでしょう。現在は主にコンビニや食品業界を中心に展開されていますが、小規模の店舗でも工夫をすればトレンドに乗った商品を添加できるでしょう。すでに猫モチーフの商品を展開している企業も多く、今後は企業同士の連携を強化しながら、より幅広い商品ラインナップが展開されることが期待されます。

また、せっかくの猫の日ですから主役の猫がよろこぶ猫グッズやキャットフードなどの分野でも「猫の日」キャンペーンが活用される機会が増えるかもしれません。加えて、動物保護団体と連携した社会貢献型のキャンペーンも、消費者の共感を呼ぶ要素として重要になってきています。

まとめ

「猫の日」商戦の盛り上がりは、ペット市場の成長、バレンタイン商戦の縮小、記念日マーケティングの巧妙な活用が要因となっています。今後も、猫好きの消費者のみならず、猫をモチーフとした可愛いデザインに惹かれる幅広い層へのアプローチが進むことで、「猫の日」商戦はさらなる拡大を続けるでしょう。

次は「犬の日」がもっと盛り上がることを期待しています。

#日経COMEMO #NIKKEI

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