戦略的ターゲティングとは?〜マーケティング・マネジメント第16版を読む
コトラー&ケラー&チェルネフのマーケティングマネジメントを読みながら気づきを記しています。
今回は、戦略的ターゲティングとは何かについてです。
戦略的ターゲティングと戦術的ターゲティングの違い
戦略と戦術の違いといいますと戦略(STP)から戦術(4P)みたいな感じでイメージするかもしれませんがターゲティングのところでは少しニュアンスが違います。
2つの定義を比較すると、ニーズの発見が最初で、具体的顧客に到達するという、戦略→戦術という流れなのかと思います。
本書においては、”この2つは相反するものではなく、ターゲット顧客を特定するプロセスの中で、一体となって結びつくものである”としています。
さらに、2つは目的がそもそも異なるとも言っています。
戦略的ターゲティングは、一部の顧客を無視してでも残りの顧客のニーズを満たそうとするのに対して、戦術的ターゲティングは戦略的に重要な顧客にはすべてに対してアプローチすることを目指しています。
ちょっと哲学的ではありますが、実務的にはターゲティングにおいては戦略性と戦術性の両方を同時に意識しつつ自社にとって現実的(アプローチ可能な)ターゲットを定義づけすることが必要になってきます。
では、戦略的ターゲティングについてです。
戦略的ターゲティング
前述の通り、戦略的ターゲティングにおいては自社製品が満たすべき顧客ニーズは何かを明確化することから始めます。
戦略的ターゲティングには、ターゲットの適合性とターゲットの魅力の2つの原則からなります。
ターゲットの適合性
ターゲットの適合性とは、ターゲット顧客のニーズを満たし競合品に勝る自社の能力があるのか、のことです。優れた顧客価値を生み出すためのリソースが十分に備わっているのかを評価する必要があります。
企業リソースを評価する上で重要なことはコア・コンピタンスの特定です。
コア・コンピタンスとは、
(1)競争優位の源泉であり、顧客の知覚ベネフィットに貢献する
(2)多様な市場での応用が可能である
(3)競合他社が模倣困難である
という特徴があります。
ターゲットの魅力
ターゲットの魅力とは、企業にって優れた価値を生み出すのかどうかです。
価値は、金銭的価値と戦略的価値の二つに分かれます。
金銭的価値は、顧客収益とコストに分かれます。要するにかかるコストに見合う分の収益が期待できるのか、ということです。
戦略的価値は、非金銭的価値のことです。社会的価値、規模的価値、情報的価値の3つがあります。
社会的価値は、ターゲット顧客の他の潜在的顧客への影響度のことです。
規模的価値は、企業の事業規模から得られる価値のことです。
情報的価値は、顧客がもたらす情報の価値です。
戦略的ターゲティングにおいて、金銭的価値以上に戦略的価値の方が重要になってきます。
ただし、数字でその価値を定量化できないので評価は難しいですよね。
しかし、長い目で見て自社にとって価値をもたらしてくれる顧客ターゲットを見定め、さらに社内を説得する責務がマーケターにはあるわけです。
以上、戦略的ターゲティングについてでした。
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