見出し画像

中小企業を支える「ものづくりデジタル塾」と官民連携の力

日本のものづくりは、技術革新のスピードが急速に進んでおり、デジタル技術を活用した解析や設計が競争力の鍵を握っています。しかし、特に中小企業においては、資金や人材の不足からデジタル化が進まず、導入が難しいのが現実です。そんな中、官民が連携して中小企業をサポートする取り組みを日経新聞(9月18日付)で報じています。

この記事では広島県を中心としたデジタルものづくり塾がフィーカスされています。この塾は、企業が互いに技術を学び合い、スキルを向上させる場を提供し、中小企業が新しい技術に適応できるよう支援しています。

大阪にも同様に官民連携を目的としたビジネス支援センター「MOBIO」が存在し、地域を超えた協力体制が構築されています。

中小企業のデジタル解析スキル向上に向けた取り組み

広島県では「デジタルものづくり塾」が、コンピューターを活用した解析技術(CAE)を学ぶ場として設立されました。プラスチック部品を製造する群馬県の大西ライト工業所など、多くの中小企業が越境して塾に通い、デジタル解析のスキルを磨いています。この塾では、企業が最新のソフトウェアを使用して、設計段階で部品の問題点を予測する手法を習得し、試作回数を大幅に減らすことが可能になりました。

これまでは熟練の技術者が経験に基づいて試作を繰り返しながら製品を完成させてきましたが、IT技術の導入により設計段階での精度が向上し、試作にかかるコストや時間の削減が実現しています。

官民連携による地域を超えた支援

大阪の支援拠点「MOBIO」でも、中小企業同士や大手企業、自治体が連携し、新しい技術やビジネスチャンスを見出すためのハブとして機能しています。このような官民連携の場があることで、単独では難しかった技術習得やデジタル解析の導入が、中小企業でも可能になっています。

また、地域や企業の枠を超えた協力が促進されることで、スキルの向上や技術革新が生まれやすくなります。特に、自動車産業など競争が激化している業界では、こうした協力体制が欠かせない要素となっています。

中小企業が抱える課題を助け合いで克服する

中小企業は、技術的なノウハウの蓄積や、最新のデジタル技術の導入において大手企業と比べてハンデを負っています。しかし、官民連携の場や塾を通じて、技術やスキルを共有し合うことで、こうしたハンデを克服することが可能です。

群馬県の大西ライト工業所の事例でも見られるように、他地域の先進技術を学び、企業間で協力し合うことで、新しい技術を迅速に導入し、競争力を維持・強化することができます。中小企業単体では解決が難しい課題も、こうした助け合いの仕組みがあれば、乗り越えられるのです。

まとめ

中小企業がデジタル解析技術を取り入れ、競争力を高めるためには、官民のプラットフォームを活用した協力が有効です。連携や地域を超えた協力が必要です。自社の技術を他社に教えるということは敵に塩を送るようなものと思う企業もあるかもしれません。しかし、技術革新のスピードが加速する中で、中小企業も助け合いの力を活用しながら、スキルを磨き、持続可能な成長を目指すことが求められています。

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?