大承継時代のはじまり
「アトツギがいない。」
日本の多くの中小企業が抱える喫緊の課題です。少子化が進む中で、一昔前の「長男が跡を継ぐ」なんていうメンタリティは過去の遺物となりました。
せっかく代々続いて黒字経営の会社でも店じまいしないといけなくなるということも実際に起きています。
先日、日経新聞の「小さくても勝てる 新・世継ぎの形」では3つの事業承継のカタチが紹介されていました。
内部昇格
もっとも自然な承継の形ともいえるのが内部昇格です。生え抜きの社員に会社の経営を任せる。24年には内部昇格の割合が同族承継の割合をはじめて上回ったそうです。所有と経営を分離して、親族が会社所有を続けた場合の承継後の次の承継が課題となりますが、社員のモチベーションや起業の持続的な成長のためにも内部昇格が選択肢となることを早期に示すことが承継者の意識の醸成にもつながるといえるでしょう。
同族承継
経済環境の変化が著しい中で同じこととだけをやり続けて成長することができるというのはほぼ不可能と考えた方が良いです。同族内の後継者候補がいても環境に合わせて挑戦する人物でなければ会社は存続することは困難になります。狭山金型製作所は3代に渡り、創業者はオーディオ、2代目は半導体、3代目は医療機器とあらなた分野に挑戦しています。新たな分野への挑戦は承継者の自己実現となり、そこでの成功は社員からの信頼の獲得にもつながります。
サーチファンド
金融機関などが出資するサーチファンドを活用して、プロの経営者とされる人物に会社を託す事例も出てきています。欧米流とされるこの手法も徐々に広がりを見せています。ゼロから始めるのではなく、いまある企業を引き継ぐ形で自らの夢を実現しようとする経営者とうまくマッチングできれば、その企業にとっても新たな成長のきっかけをつかむことになるでしょう。
まとめ
以上のように、大承継時代の始まりとして3つの世継ぎの形が示されています。企業の数、経営者の数が減ってしまうと日本の経済自体が縮小してしまいます。少子化の中でも企業数、経営者の数を増やすために、今、黒字の企業を存続させることが今後も日本の重要課題の一つとなり続けるでしょう。