フット・イン・ザ・ドアとは何か?-行動経済学の理解と実践60
小さなお願いから承諾してもらう交渉テクニックとなるものがフット・イン・ザ・ドアです。
玄関ドアに足先だけを入れた状態のことをいいます。いきなり中に入り込むのではなくて、まず足だけ入れさせてもらいましょう、って感じですね。押し売りが玄関ドアに足突っ込んで閉めさせないようにしているのとは違います。
フット・イン・ザ・ドアについてフリードマン(Freedman. J. L)とフレイザー(Fraser. S.C)という人が詳細な研究をしています。
ある大きな依頼をするために、以下の4つのグループに分けて事前コミュニケーションをとりました。
グループ1:小さなお願いと実際の行動の依頼
グループ2:小さなお願いだけ
グループ3:あいさつ(自己紹介)だけ
グループ4:なにもしない
上記、4グループに後ほど、大きな依頼をすると受諾率は以下のようになりました。
グループ1:52.8%
グループ2:33.3%
グループ3:27.8%
グループ4:22.2%
この結果から言えるのは段階的アプローチの有用性です。
まず、ステップ1 まず挨拶(グループ4と3の比較)をしておくこと
単純接触効果でも証明されていますが、まず、親近感を得ることが重要です。
ステップ2 簡単なお願いだけしてみる(グループ3と2の比較)
まずはお願いだけです。「ちょっとお時間ある時に見ておいてくださいね。」みたいな感じです。
ステップ3 小さなアクションを依頼する(グループ2と1の比較)
実際、見てもらったものがどうだったか教えてもらいます。
ステップ4 本命の大きなアクションを依頼する
小さなアクションと大きなアクションは類似している方が受諾されやすくなることも証明されています。
一度協力してあげたという思いがサンクコストになるからと言われています。
フット・イン・ザ・ドアは、交渉や営業活動、家族間などいろんな交渉の場面で多く活用されています。
新製品の市場展開においてもフット・イン・ザ・ドアのアプローチを意識してみましょう。いきなり画期的な商品を認めてもらおう、買ってもらおうと焦らずに、まずは知ってもらう。そして、徐々に引き込むためのアプローチを検討してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。