The happy few になるには
欧州では、輸出企業のことを「The Happy Few(幸福なる少数)」と呼ぶことがあるそうです。国内市場に留まる企業が多い中、海外市場でも成果を上げる企業は限られているためです。日本もすべての輸出額の内、上位1%の企業が全体の75%を占めるという寡占状態となっています。日経新聞(9月16日付)でも、輸出を強化し、海外で成果を上げる日本企業について紹介されていました。日本の中小企業が「The Happy Few」を目指すための道筋と、インバウンド需要やプラットフォーマーの活用による輸出ビジネスのチャンスについて考察します。
インバウンド需要がもたらすチャンス
記事では、アサヒビールの「スーパードライ」が韓国で人気を取り戻し、輸出ビジネスが成功している事例が紹介されています。政治的な背景で低迷した時期もあったようですが、現在は日本でも人気の「生ジョッキ缶」の輸出も好調なのだそうです。この背景には、日本への旅行を通じて日本のビールの味を再発見したことが上げられています。
そう考えると、インバウンド需要を活用することで海外市場でのブランド認知度を高めることが可能です。観光客が国内で体験した商品を、帰国後にオンラインで購入するという流れは、中小企業にとって輸出ビジネスの有利な機会となります。
プラットフォーマーの活用による輸出ビジネスの可能性
とはいえ、輸出業となるとこれまではノウハウが必要となり二の足を踏む企業も多かったと思います。輸出ビジネスへのハードルは、以前に比べて大幅に低くなっています。Amazonや楽天などの越境ECプラットフォームを活用すれば、国内外の消費者に商品を直接届けることができ、中小企業でもグローバルな展開が可能です。記事では、宮崎県の杉本商店がAmazonを通じて、欧米のベジタリアン向けに干ししいたけを販売し、売上の10%を輸出で稼ぐという成功例が紹介されています。
このように、海外経験がなくても、プラットフォーマーを活用することで少額の初期投資でグローバル市場に参入することができるようになりました。Amazonの「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」などのサービスを使えば、商品の梱包や発送、顧客対応も自動化できるため、人手不足に悩む小規模事業者でも容易に事業を拡大できます。
手数料で利益が圧迫されることはありますが、輸出ビジネス進出の足掛かりとして活用することは意義があるでしょう。
まとめ
日本の中小企業が「The Happy Few」を目指すためには、インバウンド需要を活用して外国人のニーズを顕在化させることや、Amazonなどのプラットフォーマーを積極的に利用して輸出ビジネスを拡大することが鍵となります。特に、オンラインプラットフォームを活用することで、海外への進出ハードルが低くなっている今、グローバル市場での成功を目指す中小企業にとって大きなチャンスとなるでしょう。