第2回 ホリスティックマーケティングコンセプト
ホリスティックマーケティングコンセプト
こんにちは。第二回目のテーマは、ホリスティックマーケティングコンセプトです。ホリスティック(holistic)は、全体的なという意味の形容詞です。
このコンセプトは10年以上も前からあるものですし、目新しくはないと思います。一方でこのコンセプトの背景にあるトレンドがマーケティングの比重のかけ方にどう変化を加えてきたのか見ることは意味があると思います。
コトラー&ケラーの「マーケティング・マネジメント」にある定義は以下の通りです。
重要なステークホルダーとの間に長期的で満足できるリレーションシップを築き、ともに繁栄することを目的に価値を探求し、創造し、提供する活動を統合すること。
要するに顧客志向だけではなくステークホルダーとの長期的な繁栄をめざすためにマーケティング活動を行いましょうという考えです。
コトラーのマーケティングマネジメントより引用
上の図のようにホリスティックマーケティングは4つの方向性が示されています。
統合型マーケティング
マーケティングミックス(4P、Product, Price, Promotion, Place)のことです。要するにマーケティング活動に一貫性を持たせることで効率性、効果を上げて価値を最大化させましょうという意味です。これがある意味では一番ベーシックなコンセプトといえると思います。
インターナルマーケティング
社内のあらゆる組織部門、特に経営層を巻き込んだマーケティングコンセプトです。私たちは自分の仕事がどのように顧客を幸せにしているのか、どのように社会に役立っているのかを知ることで仕事への充実感を感じることができます。従業員満足(ES)は、社員の健康と士気、そして、学生など社外の人たちがこの会社で働きたいと思うかどうかの判断となり非常に重要です。
関係性マーケティング
顧客、サプライヤー、販売会社など間接/直接に関わる人たちとWIN/WINの関係を築きましょう、というのがこの関係性マーケティングです。マーケティング責任者はCRMだけでなく、PRM(Partner Relationship Management)を行わなくてはなりません。
社会的責任マーケティング
自らの利益を追求するのではなくて、社会の中で自社が与える影響に責任を持って活動することで、すべてのステークホルダーの要求に適切に対応し、自社の存続と社会の持続可能性の向上に貢献することを指します。企業の社会的責任(CSR)は、非営利な活動の位置づけから、より営利活動とも結びついたものとなっています。
持続社会の一員としてマーケティング活動を展開する
ホリスティックマーケティングコンセプトは、10年前よりもその重要性が高まっていることは明らかです。環境問題や長寿社会における健康寿命、ビッグデータと個人情報の盗用/悪用のリスクなど。また、SNSで情報が飛び交う中で一度企業が批判にさらされると企業の存続すら危ぶまれる事態に発展することすらありえます。マーケティング活動の目標が、顧客ニーズに沿った商品を届けてマーケットシェアを伸ばすことだけではなく、社会全体の中での役割と一貫性をもたせなくてはならない。また、それが市場シェアを伸ばすことの目標の足かせになるものではなく、逆に、社会での役割が認められることによってマーケティング活動も成功につながる。
最近、家具大手のニトリが販売していたバスマットに基準値以上のアスベストが検出され、販売済みの240万個を回収するというニュースがありました。ニトリは最近非常に好調な小売店ですし、ショッキングなニュースでした。このような危機の時の対応においてこそ、企業の存続可能性が問われてくると思います。ホリスティックマーケティングではこういった問題対応においてもマーケティング志向を持つことが重要な事を教えてくれます。
最後までお読みいただきありがとうございました。