Chat GPTの未来の評価は?
先日、知人が「Chat GPTってなんであんなに便利なのに、あんなに安いんだろう。月数万円でも価値あるよね。」と言っていました。
私は、「n数(サンプル数)を稼ぎたいからでしょう。」と答えました。
つまり、生成AIはまだ成長途上にあります。私たちユーザーが投げかける一つ一つの質問や依頼が、AIにとってのエサのようなものです。そのエサが増えれば増えるほど、AIは高度に進化していきます。最初に圧倒的な資金力と技術でユーザー数を集めた企業は、スケールの原理(スケーリング則)により、ますます成長を続けるのです。
そしてその先には、「万能の神のようなAI」が完成し、人間を支配する未来が…なんて、最後は少しSF的な妄想になりましたが、日経新聞(10月10日付)の「オープンAI、営利化の不安」という記事を興味深く読みました。
記事によると、オープンAIが1兆円近い資金調達を決め、今後営利企業へと移行する方針を示しています。オープンAIは2015年にNPOとして発足し、「人類全体のためになるデジタル知能を進化させる」というミッションのもと、社会的イノベーションを実現してきました。2019年には営利的要素を取り入れてハイブリッド組織となりましたが、利益配分に制限を設けるなど、非営利性を保っていました。
NPOとしての非資本主義的な目標を掲げることで、社員はやる気を持って研究開発に取り組み、ユーザーも信頼感を持っていたのです。しかし、営利化により、社員のモチベーションが下がり、製品への信頼が損なわれるのではないか、と記事では懸念しています。実際、オープンAIでは資金調達の発表前後に幹部の退社が相次いでいるとのことです。
「パーパス」という言葉がもてはやされていますが、営利企業にとっても社会的目的の追求は重要な要素です。一方で、企業は利益を生み出し、株主やその他のステークホルダーに還元する責任もあります。社会起業家(ソーシャルアントレプレナー)も、自身のイノベーションに対する報酬が認められることで、未来の起業家やスタートアップのモチベーションにつながります。しかし、舵取りを一つ間違えると、社会課題の解決どころか、強欲と非難され、格差社会を助長する原因になりかねません。オープンAIは、そういった意味で今、未来の評価を占う重大な岐路に立っているのかもしれません。
今後のオープンAIの動向に注目したいと思います。