モノ→コト→トキ、そして、没入感
消費スタイルの変化をとらえる上でモノ消費からコト消費、そして、トキ消費へと変化しているという話をよく聞きます。
日経クロストレンドの記事でインバウンド消費が爆買いからコト消費への変化が起きていることの記事が出ていました。
また、日経新聞ではトキ消費からさらに没入価値というワードに発展しています。
消費トレンドの理解は今後の商品・サービスのコンセプトを考える上で重要な要素となりますので、それぞれの消費スタイルの変化と記事内容について考察したいと思います。
消費者がお金を使う際に重視する要素のモノ→トキ→コトへの変遷について、それぞれがどう違いなぜ変化したのかを見ていきましょう。
まず、モノ消費とは、商品そのものの価値を重視した消費行動です。クルマや時計、サービスであれば映画を観る、食事をするなどもモノ消費にあたります。
次に、コト消費ですが、これは商品やサービスを使う際に得ることができる体験のことをいいます。たとえば、旅行で絶景を楽しむとか、インスタ映えするスィーツの店で写真をシェアするとか、などです。
そして、トキ消費です。これにはSNSによる情報氾濫が背景にあります。映えを期待してシェアしたものの、他の人も多く同じような写真をシェアしていてありふれたものになってしまいます。
そこで、自分だけの特別な経験をしたいという欲望が起点となったものがトキ消費です。再現のできない特定の期間や場所にいることの価値を重視します。たとえば、スポーツイベントの会場や推しのライブ会場などがあげられます。
日経クロストレンドの記事については、インバウンド消費が爆買い(モノ)からコト消費へのシフトの加速を予測しています。これはある意味当たり前だろうなと感じる点もあります。
というのは、23年は欧米から日本への旅行者が割合として大きく増えました。コロナ前は中国をはじめとした東アジアの旅行者がインバウンド需要の原動力でした。
欧米人がわざわざ日本に来て日用品や家電を買い漁ることはしないでしょう。それよりは日本文化に触れたいという思いの方が強いはずです。
昨年、より体験価値に重きを置いた本格的な体験ツアーの人気が高まっているというニュースで何度か見ました。寿司修行や日本刀づくりなど、海外からの旅行者で予約が殺到しているとか。
このようなホンモノの体験は、ステレオタイプな言い方ですが、欧米人の方たちの方が前のめりになりそうだな、と感じます。文化的な背景が違うほど興味を持つでしょう。でも、それだけにとどまらないでしょう。
このような活動が旅行者の間で話題になれば、アジアからの旅行者にも影響を与えます。結果として、単にモノを売るだけでなくサービスの付加価値を高めることにつながります。
次に、もう一つの日経記事ではトキ消費がより没入感を求めたものになるだろとしてます。
トキ消費は、その場、その時にいるので「参加」しているのですが、反面、冷めてしまうとその場にいるだけの傍観者のように感じていしまい、一気に価値を下げてしまうという難点があります。
そのようなコトやトキの消費価値を下げないために「没入型体験」へと進化させる必要があるというのがこの記事のポイントです。
没入体験とは参加型への転換を意味します。
行動経済学でDIY効果、イケア効果といいますが、自分で作ったものには人は高い価値や愛着を持つようになります。
製品、サービスを提供する際に顧客にホンモノを作る経験をさせてあげること。
このような没入型体験はインバウンドだけでなく、トキ消費を重視する消費者に受け入れられることが期待でき、顧客価値の向上につなげることができるでしょう。
ぜひ、自社の商品・サービスにトキ消費、ひいては没入型体験の要素を組み入れてみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただき有難うございます。
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