「競争しない」競争戦略とは
日経新聞(8月1日付)に、セブンイレブンの「競争嫌い」が競争力の源泉という面白い記事がありました。独自性を追求し、消費者のニーズを捉えて「ないもの」を作り上げることが強みを生み出しているというのです。
セブンイレブンの「競争嫌い」戦略
セブンイレブンは、他社と激しい競争をしながらも、「競争嫌い」とも言える独自性の追求を行っています。たとえば、今ではどこのコンビニでも見かけるようになった挽きたて、入れたてのコーヒー。1980年ごろからセブンイレブンが最初に取り組みを始め、苦戦をしつつも2013年のセブンカフェから大ヒットへとつなげました。
また、セブン銀行やセブンプレミアムなどの成功事例も、企業文化として社会ニーズを掴もうとする姿勢から生まれました。「他と違う独自のものをつくっていれば、決して競争には巻き込まれない」「競争相手は顧客」という考えを実行した結果です。
クックマートの成功事例
「競争嫌い」を実行しているのが愛知県豊橋市にあるクックマートです。1995年創業の新参スーパーですが、地域のニーズに応じた商品提供を行い、大手スーパーの模倣を避ける戦略を採用しています。
例えば、鮮魚や味噌など地域ごとの嗜好に合わせた品揃えを重視しています。クックマートは、地域ごとの嗜好に合わせた商品提供を行うことで、競争を避けつつ、顧客の心を掴んでいます。店内での献立提案や深夜営業を行わないことで、通常の営業に人的資源を集中させています。これにより、鮮度の高い商品を提供し、顧客満足度を高めています。
ニーズに基づく独自性追求の重要性
競争を避けることで独自の強みを発揮し、地域のニーズに応じた商品提供が成功の鍵であることは、頭ではわかっていても、同業他社の成功例につられた「ものまね・同質化」に走ってしまうことがあります。すべての同質化戦略が悪であるということではありませんが、自社だからできることは何か、自社の顧客が求めているものは何かを追求し続けることが重要です。その姿勢こそが、顧客満足度を高め、長期的な成功をもたらす源泉となるでしょう。
まとめ
セブンイレブンやクックマートの事例から、他社との競争を意識せず、独自性の追求と消費者ニーズに応じた商品開発が、結果として、他社との差別化を実現し、長期的な成功をもたらしてくれることがわかります。自社の強みを活かした独自の商品やサービスを提供することに努めることで、過度な競争に巻き込まれることなく、持続的な成長を実現できるでしょう。