セグメンテーションの分類〜マーケティング・マネジメント16版を読む
マーケティング・マネジメント(第16版)を読みながら考えをまとめています。
今回は、第6章からセグメンテーションの分類について深掘りします。
以下の記事の続きとなります。
セグメンテーション(市場細分化)は、市場を決められた基準にしたがって切り分けることをいいます。それぞれのニーズによって切り分け方が異なってきます。自社の商品・サービスに対して同様のニーズを持つ顧客グループを選び出すことが必要となります。
セグメンテーションの分け方には、大きく分けてデモグラフィック(人工統計学的)とサイコグラフィック(心理的)に分けられます。
デモグラフィックは、市場の測定がしやすいという利点があります。一方で、サイクフラフィックは、顧客の価値観にもとづくものであることからもニーズに直結しやすいと考えられます。
では、デモグラフィック市場細分化の種類から見ていきましょう。
デモグラフィック市場細分化
年齢、家族構成、ライフステージ、文化・宗教など比較的計測がしやすく、ニーズとも関連性が強いとされる変数が多く用いられます。以下に主なものについてあげます。
年齢
同年代、同世代というのは、その時代の背景、カルチャーなどの影響も同じように受けます。z世代(1990年代後半から2012年ごろ生まれ)が、デジタルネイティブとして注目されていますね。一般的に、23歳頃に聴き馴染んだ音楽がその人の好みの音楽であったりリズムとして脳に定着するそうです。
ライフステージ
ライフサイクルにおける重要なステージごとによる分類です。学校への入学、卒業や結婚、出産、子育て、介護などです。一般的には年齢との相関もありますが、多様化は進んでいますね。
性別
男性と女性という区別から多様性を受け入れようとする姿勢が広がっています。家事に対する男女の役割も変わっています。家庭用洗剤のCMに男性が起用されたり、口紅のようなコスメCMにも男性俳優が起用されるようになったのは10年くらい前だと考えられないようなことでした。そういったCMからもブランドの姿勢として評価されていますね。
収入
収入レベルに合わせた市場細分化はプレミアムブランドと汎用品といった商品ラインを考える上でも行われています。従来は、低所得者から高所得者へのピラミッド型のような構成をイメージしていましたが、現在では砂時計のような形状になっていると言われています。中間的な消費者層が中位の商品を選ぶのではなく、ものによってプレミアム品か安価品かのどちらかに区別してしまっているからです。例えば、高級車には乗るけど、生活品は100圴とかで抑えるみたいなイメージですね。
地理的市場細分化
国や地域や人の行動エリアによる細分化です。小売業であれば店舗からどの程度のエリアまでの顧客が足を運んでくれるのか商圏を知ることが必要です。
地理的なデータ×その他のデモグラフィック変数で、自社がカバーできる規模を把握することになります。
行動上の市場細分化
購入者を行動状況によって分類するものです。市場経験の有無、使用頻度、ロイヤルティ度、購入準備の段階などです。全体のセグメントを切り分けた次の段階でロイヤルティなどの顧客の行動状況を把握して打ち手を検討するというステップになると考えます。
サイコグラフィック市場細分化
サイコグラフィックは、心理的特性や価値観、ライフスタイルなどに基づいてグループ分けします。本質的なニーズを知る上で価値観は非常に重要です。しかし、把握することは困難です。だから、どうしてもデモグラフィック変数で切り分けたセグメントの代表的な価値観で全体を類推しようとしてしまいます。行動経済学で言うと代表性ヒューリスティックの罠に陥ってしまうリスクがあります。
逆に言えば、そういったステレオタイプに気づくことができれば本質的ニーズを見つけることができる可能性が高まるといえるでしょう。
まとめ
セグメンテーションの種類についてそれぞれの位置付けを深掘りして説明しました。市場細分化は、マーケティング戦略立案においてターゲットを明確にするための重要な作業とされています。一方で、セグメンテーションによってステレオタイプに市場を切り分けてしまい全体が見えなくなってしまうと言う話もよく聞きます。ターゲティングを行った後でも他のセグメントとの違いを俯瞰的に見れるように市場感覚を磨いておく必要があります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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