
「稽古照今」の意味を考える
稽古照今(けいこしょうこん)とは、「古(いにしえ)を稽(かんが)みて、今を照らす」と読み、「過去から学び現在に活かす」という意味になります。茶道などでよく知られておりいわゆる「お稽古」の意味となるのですが、そもそもの由来は、日本最古の歴史書である『古事記』を編纂した太安万侶(おおのやすまろ)の序文に記された言葉です。
まず最初の漢字「稽」。この漢字をスラスラ書けますか?私は書けませんでした。「稽」は15画もあります。
「稽」には「深く考える」「比較して考える」「とどめる」といった意味があります。つまり、「考える」よりもさらに深いところで「考える」という意味だと思います。
読みは、音読みは「ケイ」、訓読み「かんがえる、とどめる、とどこおる」です。
これまで何気なく使っていた「お稽古」という言葉に、実は深い意味が込められていることに気づきました。
子供の頃、習字やそろばんなどで行っていた「お稽古」。これは単に上手になるために先生からやり方を教わるだけのものではありません。先生の教えを基にその意味を考え、自分なりの答えを見つけるためのものです。
そして、自分なりの答えが見つかれば、「照今」、すなわち現在に光を照らすことにつながります。
また、茶道や武道、能の世界でよく聞く「守破離」もこの考えに似ています。まずは古の教えを学び(守)、それを自分なりにアレンジし(破)、最終的に新たな境地を見つけ出す(離)ということです。
現在や未来を照らすために最初に必要なのは、古(いにしえ)から学ぶことです。過去から学ぶ姿勢がなければ、荒唐無稽(現実味がなく、でたらめなこと)だと批判されたり、滑稽だと笑われてしまうかもしれません。ただし、そこから自分の考えを導かなくては「稽古」を受けたことにはならないということです。
稽古照今の考え方は、ビジネスのあらゆる場面でも重要です。これまでの成功例や動向から学びつつ、その意味を稽みる(深く考える)ことが「照今」につながり、新たなアイデアを見出す秘訣と言えるでしょう。