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お好み焼きを世界に広げる創業100年以上の未上場ファミリー企業とは


お好み焼きの魅力と文化的ギャップ

外国人に「ジャパニーズピザ」として説明されることも多いお好み焼き。しかし、外国人が実際に食べると「どこがやねん!」と思うこともあるかもしれません。パンケーキに近いと感じる人もいますが、甘いイメージのあるパンケーキとは異なるため、表現には工夫が必要です。お好み焼きは単なる料理ではなく、広島や関西の文化そのものです。

オタフク広島から世界へ

オタフクソースは、1922年に創業された広島のファミリー企業であり、日本のソース市場で25%以上のシェアを占めるトップブランドです。お好み焼き専用ソースの開発(1952年)を契機に、広島のソウルフードを支える重要な存在として成長してきました。同社は早くから海外市場に注目し、アメリカ、中国、マレーシアに工場を展開。2024年には欧州初の拠点をパリに開設し、さらなる拡大を目指しています。

お好み焼き普及活動

オタフクは、1998年に「お好み焼き課」を設立し、国内外での普及活動を強化しました。広島駅近くの体験型施設「OKOSTA-オコスタ」や、全国3カ所の研修センターでは、お好み焼きの作り方から店舗運営ノウハウまでを伝授しています。これらの施設には、多くの外国人が訪れ、お好み焼き文化に触れています。

独自の開発力と柔軟な対応で市場を切り開く

オタフクの強みは、その商品開発力にあります。同社は年間数百件のオーダーメード製品開発を手掛け、顧客ニーズを深く理解することで市場のトレンドに対応しています。さらに、これらの知見を家庭用製品に還元し、外食と家庭の双方での利用を促進しています。最近はAIも積極活用し商品開発に取り入れています。

非日常の体験で育む企業文化

オタフクは、社員や家族との絆を深めるための「非日常」の体験を重視しています。キャベツ畑での研修や歴史的偉人に触れる旅、地域の伝統工芸体験などを通じて、感性やパートナーシップを育んでいます。こうした取り組みが、社員の結束力と企業理念の浸透を支えています。

まとめ

オタフクソースの成功は、製品開発力と文化普及活動を両輪とする戦略に支えられています。同社はお好み焼き文化の世界的な認知拡大を通じて、ビジネスの新たな可能性を切り開いてきました。未来に向けて、文化を軸にしたグローバル戦略を深化させることで、さらに多くの地域で愛される存在となるでしょう。オタフクの挑戦は、単なるビジネスの枠を超え、食文化の多様性を広げる壮大な取り組みでもあります。


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