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IT大手創業者弟と地元飲食業兄による地方創生への取り組み

日経新聞の地方欄で目を引いた記事がありました。IT大手SHIFTの創業者、丹下大氏と地元で飲食業を営む兄の工氏がタッグを組み、広島県神石高原町で地方創生に挑んでいるそうです。補助金に頼らず、自立した地方経済の構築を目指す彼らの取り組みは、今後の地域活性化のモデルケースとなる可能性を秘めています。

補助金頼みを脱却する新しいモデル

神石高原町は、広島県の中山間地域に位置する人口約8200人の町です。しかし、国の推計によると2050年には人口が約3800人に減少する見通しです。歳出の大半を補助金に頼る財政状況が、自治体の持続可能性を危うくしています。同市の自主財源は3割程度にとどまり4割以上を地方交付税に頼っています。この現状に対し、丹下兄弟は「補助金頼みに未来はない」と強く問題提起。町の自立した経済基盤を築くべく、新たな事業モデルを展開しています。

神石高原町の地元産品を活かした事業展開

兄弟が設立した「MSERRNT(マサーント)」は、飲食業と観光業を柱とした事業を展開しています。地元産品を活用した焼肉店「Premium焼肉 神石」を広島県福山市や東京港区に出店し、神石高原町の特産品である神石牛をPRしています。脂の融点が低く、さっぱりとした味わいが特徴の神石牛は、有名和牛ブランドに匹敵する存在を目指しています。

さらに、強アルカリ性で美肌効果があるとされる温泉施設の運営やキャンピングカーのレンタルサービスを展開中。観光客向けには、町の魅力を発信するカフェ併設の商業施設を整備中です。これらの取り組みは観光資源を活かしながら、地域の付加価値を高めるものとなっています。

住民の暮らしやすさ向上と新しい挑戦

観光だけでなく、地元住民の利便性向上にも注力しています。給油所やゴミ回収サービスを提供するほか、スーパー誘致の計画も進行中です。2025年夏には産婦人科の開業を予定しており、地域医療の充実にも貢献しようとしています。

最終的な目標は、神石高原町が補助金に頼らない財政運営を実現することです。丹下大氏は「成功すれば全国の自治体に似た取り組みが広がるはず」と意気込みを語り、兄の工氏も「成功も失敗もオープンにすることで他地域の参考にしてほしい」と述べています。

まとめ

丹下大氏という稀有な人物が出身者である神石高原町は非常に恵まれているといえます。ただ、補助金に頼らず地域資源を活かした事業を展開する彼らの挑戦は、他の地方自治体も見習うべき要素があるでしょう。観光客誘致と地元住民支援を両立し、持続可能な地域経済を目指す彼らの取り組みなどです。官民が協力することができれば、他の地域でも再生の可能性が膨らむことが期待できます。

彼らの成功によって、今後、他の地域でも同じような民間からの地方創生への働きかけが増えてくることが望まれます。

#日経COMEMO #NIKKEI

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