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高級おにぎりブームとコンビニの価格二極化戦略

高級おにぎりがブームです。高品質な具材や特別な米を使用した贅沢なおにぎりが注目を集める一方で、コンビニ各社は定番のおにぎりを値下げし、価格の二極化戦略を進めています。この動きは消費者のニーズにどのように応えているのでしょうか。また、この戦略は他の商品にも応用可能なのでしょうか。

高級おにぎり「ぼんご系おにぎり」

高級おにぎりは、「ぼんご系おにぎり」といわれるそうです。「ぼんご系おにぎり」とは、東京・大塚の名店「おにぎり ぼんご」に代表されるスタイルのことで、大きめのふんわり握られたおにぎりに、豊富な種類の具材が詰まっているのが特徴です。価格は高めですがその価値は十分に実感できます。

コンビニ各社はこうした流れをフォローし商品展開を進めています。ローソンの「金しゃり」シリーズやファミリーマートの「ごちむすび」シリーズでは、いくらや鮭ハラミ、黒毛和牛など、まるで専門店のような具材を使用した商品が登場しています。価格は200円台後半から300円程度と通常のおにぎりよりも高価ですが、専門店レベルの満足感を提供することで人気を集めています。

コンビニの価格二極化戦略

コンビニ各社は、消費者の多様なニーズに応えるため、定番商品と高級商品の二極化を進めています。例えば、セブン‐イレブンは「ツナマヨネーズ」の価格を151円から138円に引き下げ、ミニストップも本体価格98円(税込105円)と100円以下の商品を定番化しました。一方で、ファミリーマートは320円の「SPAMむすび 明太子とマヨネーズ」など、斬新な高価格帯おにぎりを投入しています。

消費者目線で考えるとこの戦略は理にかなっていると感じます。おにぎりは1個だけ買うことって少ないと思うのですが、2つの別の価格帯のおにぎりがあると「一つは贅沢な高級おにぎり、もう一つはリーズナブルな定番おにぎり」という選択をしやすくなります。おそらく消費者のそういった購買心理を意識して高級おにぎりを手に出しやすいようにしているのではないかと思います。

価格二極化戦略の応用可能性

この価格二極化の考え方は、おにぎりに限らず、他の商品にも応用可能です。特に「高級品と安価品をセットで購入する」という購買行動は、さまざまな市場で見られます。

このような購買パターンは、消費者が「日常的に節約する部分」と「少しだけ贅沢を楽しむ部分」を組み合わせていることを示しています。コンビニのおにぎりにおいても、消費者目線では「定番のリーズナブルなおにぎりと、一つだけ高級おにぎりを選ぶ」という買い方ができ、これが価格二極化戦略の成功要因となっています。

この考え方は、食品業界全体にも応用できる可能性があります。例えば、スーパーの惣菜売り場では、100円台のシンプルなおにぎりやパンと、一品500円の贅沢なデリカテッセンを組み合わせることで、顧客単価を上げつつ、多様なニーズに対応できます。また、コンビニのスイーツコーナーでも、100円台のシンプルな焼き菓子と、500円近い高級デザートを並べることで、同様の効果が期待できます。

まとめ

高級おにぎりのブームは、消費者のニーズの多様化を反映しています。特に「ぼんご系おにぎり」として、専門店の影響を受けた高級おにぎりが市場での存在感を増しています。コンビニ各社は価格の二極化戦略を取り、定番商品を値下げしつつ、高級商品を充実させることで、消費者の選択肢を広げています。

この戦略のポイントは、「高級品と安価品を組み合わせて購入する」という消費行動にあります。おにぎりに限らず、カップラーメンやコーヒー、スーパーの惣菜やスイーツなど、多くの市場でこの考え方が活用できます。

今後も、企業は価格の二極化を巧みに活用し、消費者の満足度を最大化する工夫が求められそうです。「日常の節約とちょっとした贅沢」を両立させる商品展開が、今後の成功の鍵となるでしょう。

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