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中小企業の技術が生かされる鉄道部品市場

はじめに

コンビニの中華まんケースに使われる耐熱性に優れたガラス技術が、鉄道部品のモニターや防犯カメラのガラス部品に応用されていると知り、少し驚きました。これは、日本経済新聞「小さくても勝てる」(2月21日付)の記事に取り上げられていた内容です。このように、鉄道部品の分野では中小企業の高度な技術力が重要な役割を果たしており、市場の成長とともに存在感を増しています。

イケダガラス

イケダガラス(東京・千代田)は、中華まんのケースで国内シェアほぼ100%を誇る企業ですが、2010年から鉄道分野にも参入しています。特に、鉄道車両内のモニター画面や防犯カメラのカバーガラスに採用され、高いシェアを獲得しています。同社の強みは、耐熱性や耐久性に優れた特殊ガラス技術にあり、安全性を重視する鉄道会社のニーズにマッチしたことで市場での地位を確立しました。ホームページも拝見しましたがグループ全体で従業員数約330名の企業で板ガラスの技術で顧客の細かなニーズに対応する企業であることがうかがえます。

鉄道部品市場の成長

日本の鉄道車両市場は、路線の延伸や老朽化した車両の改修需要が拡大することで、年率4%の成長が見込まれています。024年の市場規模は推定42億ドル(約6400億円)で、2033年までに58億ドルに拡大すると予測されています。このような成長を背景に、多くの企業が鉄道部品市場へ参入し、新技術を活かした製品開発を進めています。

中小企業の参入と競争力

鉄道車両部品市場は、中小企業が大きなシェアを占める産業です。帝国データバンクの調査によると、鉄道向け機械部品や関連素材を扱う日本企業は約560社あり、そのうち売上高が100億円未満の企業が9割、特に5億円未満の企業が約半数を占めています。日経記事ではイケダガラスだけでなく、軽量型コンクリート部品の「フジプレコン」(愛知県)や難燃性マグネシウムの「戸畑製作所」が紹介されています。

海外市場と競争環境

日本政府は長年、鉄道システムのインフラ輸出を推進してきましたが、海外市場では中国や韓国勢との競争が激しさを増しているそうです。鉄道車両部品の輸出額は2017年度の923億円をピークに、6年連続で減少しています。

しかし、高い技術力を持つ企業にとって、海外市場は大きなビジネスチャンスでもあります。例えば、イケダガラスは国内市場での成功を足掛かりに、アジア市場への展開を視野に入れているそうです。

元々、日本の鉄道技術は信頼性が高く、安全性を重視する国々では競争優位性を発揮できる可能性があります。今後は、国内で培ったノウハウを活かし、海外市場での競争力をさらに高めることが重要になってくるでしょう。

まとめ

鉄道部品市場は、日本国内の鉄道延伸・改修需要の拡大により成長を続けています。その中で、中小企業の技術力が大きな競争力の源泉となっており、イケダガラスやフジプレコン、戸畑製作所のような企業が市場を牽引しています。一方で、中国や韓国企業との競争が激化する中、日本企業は技術力を活かして海外市場の獲得を目指す必要があります。

また、近年は天候不良による鉄道の遅延や運休が増加し、猛暑で線路が歪むリスクにより列車の速度を落とさざるを得ないケースも見られます。こうした課題も技術革新によって解決できる可能性があり、鉄道部品メーカーが今後取り組むべき重要なテーマとなるでしょう。鉄道業界は、安全性や耐久性を重視する市場であり、高度な技術を持つ企業にとって今後も成長の機会が広がる分野といえます。


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