銭湯が生み出す価値を守れ
「銭湯って最後に行ったのはいつだろうか?」
近所のスーパー銭湯にはたまに利用しています。
銭湯とスーパー銭湯の違いは、法的に「一般公衆浴場」と、娯楽的な要素を含めた「その他の公衆浴場」とに分類されます。前者は生活に必要な施設として価格統制令で利用料が決められ、後者は自由な料金設定が可能です。
日経新聞(10月16日地方版)によると、京都の銭湯が採算や事業承継の問題に直面していることが報じられていました。
京都の銭湯の利用料は510円で、今月から20円値上げされました。最近の値上げの流れを見ていると、20円というのは控えめに感じますが、前述のように、生活に不可欠な施設として価格が慎重に決定されています。そのため、銭湯の収入だけでは施設維持費をまかなえないのが現状のようです。
さらに、多くの中小企業が抱えている後継者問題に直面する銭湯も多いようです。自宅の浴室普及により、1960年代のピーク時と比べて銭湯の数は5分の1に減少しています。
しかし、銭湯利用者の数は下げ止まりの傾向があります。母数が減ると同時に、サウナブームの影響もあり、施設あたりの利用者数は増加傾向にあります。昔は文化的に「裸の付き合い」に驚いていた外国人旅行者の利用も増えているそうです。
利用料金の上限設定は大きな制約ですが、それにより水道代などの減免措置を受けられるというメリットが経営の持続性を支えているという側面も否めません。
また、原宿のハラカドの「小杉湯」が話題になっています。立地的には本来の「銭湯」と言えないかもしれませんが、銭湯文化の価値を示す例といえます。
ちなみに、私が最後に銭湯を利用したのは20年近く前、皇居の周りの銭湯です。ランナー向けのサービスを提供しており、皇居ランを楽しんだ後、銭湯でリラックスできるものでした。地の利を生かしたサービスの工夫も、銭湯の生き残りの鍵と言えるでしょう。
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