見出し画像

大人のためのメタル話① 90年代の”洋楽ファン”はどれぐらいメタルを聴いていたのか

20世紀に青春を過ごした方々のためのメタル話を書いていこうと思います。

トップ画像にした通り、現Burrn!編集長の広瀬和生が90年代を語る本「ビッグ・イン・ジャパンの時代」が発売されました。

disk unionの販売ページは→こちら

先だって炎やヘドバン誌で「1991年特集」が発刊され、90年代再評価、振り返りの機運を高めての出版。心待ちにしていました。個人的にもこの辺りを最近見返していたところ(関連記事1「グランジムーブメントがメタルに与えた影響:1992-1995」、2「90年代のBurrn!の影響を考える ー Burrn!は誰を表紙にしていたのか?」)だったので、当事者による一級の資料として大変面白い内容。で、この中で「なるほど!」と思ったのが、90年代はいわゆる一般の「洋楽ファン」がメタルを聴いた、という言説ですね。確かに言われてみるとそうかも。

メタルってアンダーグラウンドで少数派なイメージがあるじゃないですか。それってそもそも「洋楽ファン」が(邦楽ファンに比べれば)少数派だからで、「洋楽ファン」の中では決してメタラーは少数派じゃなかったんじゃないか。この本を読んでその可能性に気が付いたんですね。確かに振り返ってみれば80年代、90年代のメタル好きって「激しい音楽が好き」というより、「普通の洋楽ファン」だった気もします。もっと言えば洋楽の中でも「ロック好き」ですね。少なくとも日本においては「洋楽ロック」の延長線上に「ハードロック/ヘヴィメタル(すなわちBurrn!誌がプッシュするアーティスト)」があった。さすがに「ポップ好き」の人たちとメタルは距離がありますが、少なくとも日本で「洋楽ロック好き」の人に80年代、90年代のバンドの名前を上げてもらうとHR/HM系の名前も上がる気がします。

だから、日本における「メタラー」とは「洋楽ロック好き」が主流派であった故にそこから一定の激しさの音楽まではついていっても、エクストリームメタル(デスメタル等)やハードコア色が強いメタル、メロディ感覚が希薄なオルタナティブメタルまでは飛びつかなかった。「メタラー」とひとくくりにされますが「単なる洋楽ファンが(当時のブームであった)メタルにたどり着いた層」と「激しい音楽を求めてメタルにたどりついた層」は大きく嗜好が違う気がする。で、前者の方が日本では圧倒的多数であった。こういう仮説を元に見ていくと「メタルというジャンルに内包される音楽」の理解に役立つ気がします。

さて、そんな発想から今回はスタート。データを元に「90年代の洋楽ファンの中にメタラーはどのくらいいたのか」を検証していきましょう。今回検証に使うのはこちら。

日本レコード協会(RIAJ)がゴールドディスク(10万枚の売上)以上の認定を受けたCDを検索できるデータベースを公開しています。1989年からのデータがとれるのでここで1989年からの洋楽のすべてのゴールドディスクを見ていきましょう。その中でメタルがどれほどあるか。予想だと1位はポップスが圧倒的に多いと思うのですが(マイケルジャクソンとかセリーヌディオンとか)、ロック系の中ではメタルアーティストが89年~90年代にかけては多いんじゃないか。で、それ以降は減っていくんじゃないかという仮説を立てています。それが検証できれば「90年代、洋楽ファンにとって”ロック”といえば”メタル”だった」と言えるんじゃないか。また、「洋楽ファン」の中でもメタルがどの程度の比率を占めていたかも推測できるだろうと考えています。検証スタート。

検証結果

最初に結論を書いておきます。

日本で売れた洋楽アルバムのうちだいたい3分の1がロック系、その半分がラウドロック系、ラウドロック系の中の6割ぐらいがHR/HM系=洋楽ファンの1割(約9%)ぐらいがメタラー(≒Burrn!ターゲット層)

90年代に絞ると洋楽ファンの約15%がメタラー

※「9%~15%」なのでこんなものでしょうか。今よりは多いけれど、少数派ではありますね。
※洋楽ファン、が同どれぐらいの割合かは不明。年代によってかなり差がある印象(昔の方が多かった)。
※メタルのヒット作は90年代に集中しています。
※あくまで「ゴールドディスク以上売れた枚数」の比率からの推測です。きちんとした統計ではなく推測なので、話のネタ程度にどうぞ。

・00年代以降はメタルは下火。大ヒットした新しいアーティストはSlipknotだけ。邦楽を合わせるとBabymetalも。

です。

それでは、”実際に売れていたメタルアルバムがどんなものか”を含め、細かく見ていきましょう。


日本で10万枚以上売れている洋楽CDアルバムの調査

調査期間 1989年4月~2022年3月(33年間分)
基準 日本レコード協会の調査による。出典
そのため、下記3点は留意点。
1.日本レコード協会に加盟していないインディーズレーベルの売上は含まない。また、国内盤のみ。
2.レーベルの自主申告に基づく(申告されなければ登録されない)。
3.売上ではなく「出荷」枚数である。
とはいえ、10万枚以上売れた洋楽となると輸入盤やインディーズでは少ないだろうし、基本的にメジャーレーベルはマーケティングのために申告していると思われるのでこのデータで一定の網羅性はあると思われる。というかこのデータ以外に使えそうなものが見当たらないので今回はこのデータから推測。

結果

認定総枚数:1311枚
(想認定回数は1783回=同じアルバムがゴールド、プラチナ、ミリオン、と複数回認定されることがあるため)

内訳

※「セクストゥプル」「セプトゥプル」「オクトゥプル」はどれも同じアルバムでボディガードのサントラ。1回しか出てこないので特殊な認定。
日本レコード協会の認定基準は2003年6月以前(旧基準)と新基準があり、洋楽アルバムの基準は上記の通り。ゴールドとミリオンは洋楽アルバムは新旧基準が同じだがプラチナは異なる。プラチナ(旧)は20万枚の出荷、プラチナは25万枚の出荷。

メタル系アルバムの数と比率

で、この1311枚のうち、メタル系がどれだけ含まれているか、を調べました。結果。

ラウドロック(メタル系に加え、メロコアなどを含む) 192枚
メタル系(Burrn!で取り上げられるアーティスト) 123枚

です。だいたい全体の15%ぐらい。多いと考えるか少ないと考えるか、ですが、いわゆるロック系のアルバムは総数410枚。

ロック系総数:410枚
ラウドロック系(メタル系含む):192枚
メタル系:123枚

総枚数に占めるロック系の比率:31.3%
総枚数に占めるラウドロック系の比率:14.6%
総枚数に占めるメタル系の比率:9%

なので、だいたい「日本で売れている洋楽のうちだいたい3分の1がロック系で、その半分がラウドロック系で、そのラウドロック系の中の6割ぐらいはHR/HM系」と言えます。ええと、多少乱暴ですが売り上げ枚数だけで言えば「洋楽ファンの1割ぐらいがメタラー(≒Burrn!ターゲット層)」という感じでしょうか。多いような少ないような。

なお、洋楽のベストセラーで結構多いのはベスト盤、コンピ盤(NowとかHitsとか)、映画サントラですね。「ああ、一般の洋楽ファンってこういうのを聞いてるよなぁ考えてみれば」ということが分かります。もともとこういうコンピ盤を好んでいた層が今はプレイリストを聴いているのかも。

90年代に絞って検証

1990年1月~1999年12月に絞ってみてみましょう。

総枚数 633枚

うちロック系 221枚
うちラウドロック系(メタル系含む) 107枚
うちメタル系 89枚

総枚数に占めるロック系の比率:34.9%
総枚数に占めるラウドロック系の比率:16.9%
総枚数に占めるメタル系の比率:14%

総年数に比べるとメタル系が14%と約1.5倍に。また、メタル系の「10万枚以上売れたアルバム」123枚のうち、実に89枚、72.4%が90年代です。やはりメタル系が良く売れた時代だったと言えるし、逆に言えば日本でメタル系が売れたのは90年代に集中していそうですね。

メタル系アルバム一覧

さて、「メタル系」としたアルバムがどんなものか、一覧を見てみましょう。Burrn!で表紙を飾るようなアーティスト=メタル(HR/HM)系としているのでボンジョビやクィーン(フレディ死後はB!誌の表紙もけっこう飾っている)も含んでいます。なので「メタル系」というよりは「Burrn!系」とでも言うべきか。どんなアルバムを指して「メタル系」と言っているのか、「メタル系」に分類したアルバムを列挙してみます。

一覧、重複削除無し

ご覧いただくと分かる通り、HR系が多いですね。ここに出てくるアーティストが「日本市場におけるトップアーティスト」と言ってもいいでしょう。

さらにこの中でも「メタル」と明確に言えるアルバムを太字にしてみました。イングウェイ・マルムスティーンメタリカスリップノットハロウィンジューダスプリーストドリームシアターパンテラメガデスあたりか。一応オジー・オズボーンもザック・ワイルド時代でけっこうヘヴィなので入れています。ちょっと意外なのはアイアン・メイデンは日本ではゴールド以上を取ったことはないんですね。ライブ動員は多いのに(キャンセルになってしまいましたが2020年の来日公演は東京大阪でアリーナ計3デイズがチケット争奪戦に)。2000年代以降の再評価のタイミングで人気がむしろ高まり、90年代のCDバブルとはタイミングがずれたせいかもしれませんね。CDを通じて触れるのではなくYouTubeやストリーミングが入り口になっているのかも。

また、パンテラが悩殺でゴールドディスクを取っていたのも驚き。そんなに売れていたのか。USでのパンテラってもちろんビッグネームですけどKornとかLimp Bizkitの方がセールス的には上なんですよね。だけれど日本ではやけに神格化されている気がしたんですが、日本市場での存在感はけた違いですね。グランジ・オルタナのムーブメントからリアルタイムに出てきた唯一のスターかも。改めて聞くと、ボーカルスタイルがスクリームなだけでけっこう曲構成はオーソドックスなメタルなんですよね。ギターリフ主体だし。

イングウェイの人気は想像以上。こんなにゴールドディスクを取っているとは。イングウェイの熱狂的なファンって多い気がしますが、単純に日本のファンが多いんですね。

ジューダス・プリーストは「ペインキラー」がゴールドディスク。これが日本で一番売れたアルバムなのかもしれませんね。実はUSやUKではペインキラーって代表作というわけでもなく、「復讐の叫び」や「背徳の掟」が商業的にピーク(あとは近作「ファイアーパワー」もチャートアクションでは最高位を出したりしている)で、むしろ谷間の作品なんですが日本では代表作扱いされるのはこのセールスに裏打ちされていたのか。どちらかといえばプリーストの歴史の中では異質なアルバムですよね。プリーストって70年代のプレメタル期から活躍しているし、ハードロックバンドの骨格にメタリックなリフを持ち込んだメタルのオリジネイター的な立ち位置。だから2世代後に出てきた90年代的なスラッシュメタル的な音像を取り入れたこの作品は異質。ミドルテンポの曲こそが代表曲に多く、カタログ全体で見ればそんなに疾走曲ありませんから。

あと、一般的にハードロックなので”メタル”には分類しませんでしたが、ディープパープルも凄い人気ですね。「紫の聖戦」が出るタイミングで再発されたのか、マシーンヘッドとライブインジャパンもゴールドディスクに。基準が「出荷枚数」なので、売れると思って増産したのでしょう。なお、右端の「リリース日」はCDとして国内盤が出た日、のようなので、いわゆる「そのアルバムが初めて世に出た日(一般的なリリース日)」とは違います。その流れでリッチーブラックモアズ・レインボーの「孤高のストレンジャー」のゴールドディスクは納得ですが、それだけでなくブラックモアズ・ナイトのデビューアルバムまでゴールドディスクを取っているとは! みんなリッチーが大好きなんですね。個人的にBurrn!誌はリッチーブラックモアを筆頭とするディープパープルファミリーのファンジン的な性質もある(初代編集長の酒井康が大ファンだったので)と思っています。

また、2022年のダウンロードジャパンでまさかのヘッドライナーを務めるドリームシアターも2作のゴールドディスク獲得。こんなに日本で売れているのか。改めてこの表を見ると、ラウドパークとかダウンロードジャパンみたいな日本のメタルフェスのヘッドライナーはこの表から優先的に選ばれている気がします。スレイヤーやスコーピオンズはありませんけど、ゴールドディスク(10万枚)に近いのでしょう。逆に言えば、この表に乗っていて今も現役で活躍しているアーティストなら、日本ではヘッドライナークラスを務められる可能性が高いということですね。

ちょっと懐かしいのは「フェア・ウォーニング」と「ヴァレンシア」がそれぞれ1枚づつゴールドディスク(「Go」「ガイア」)を獲得しているところ。ここに出てきたアルバムを紹介していっても面白いかもしれません。

ラウドロック系アルバム一覧

次に、「ラウドロック」に分類したアルバムは下記です。メロコアやメタルコア、オルタナティブメタルなど、「ギターリフ主体」ではないアルバムたち。まぁ、上記の「メタル系」にしてもブラックモアズレインボーとかはフォークだし、スリップノットもメタルコアだからそんなに厳密じゃないんですが、イメージとして「メタル系」とはあまり言われないけれど、「ラウドロック」という括りには入ってくると思ったアルバムを入れています。

ちょっと迷ったのは「ピンクフロイド」の「対」。毎回Burrn!で取り上げられているんですけど「メタル系」じゃないし、一応苦肉の策で「ラウド系」に入れました。ピンクフロイド(特にデヴィッドギルモア期)的な音作りってポストメタルとかゴシックメタルとかに影響を与えていますよね。

こんな感じです。フェスだとこのあたりのバンドも入って来ることもあるんじゃないでしょうか。ラウドパークでも見かけた名前もちらほら。

マイケミカルロマンスは中止にならなければ2020年のダウンロードジャパンのヘッドライナーでしたし、同時期に来日していたグリーンデイがヘッドライナーなんじゃないか説もありましたね。海外では「メタル」に括られるアーティストもいたり。アンドリューW.K.エヴァネッセンスマリリンマンソンレイジアゲインストザマシーンあたりは日本でも”メタル系”括りでも良いかも。一応、アルバム全体を通して聞くとそこまでメタル色が強くないのでこちらに入れました。

これ、時系列でみていくと90年代前半はメタル系が多く、前半に出てくるのはニルヴァーナのネバーマインドとグリーンデイのドゥーキーぐらい(あと、ちょっと特殊なピンクフロイドの「対」)。1997年ぐらいから「メタル」と「ラウドロック」の比重が半々ぐらいになってきて、00年代以降はほぼほぼラウドロック系のアーティストが主流になってきます。00年代にメタル系(というかBurrn!系というべきなのかも)でゴールドを取得するのは新人だとSlipknotだけになります。Slipknotも先述した通り、日本ではおそらくレーベルの戦略としてメタル色を強めてBurrn!誌でプッシュしましたが、いわゆる「ギターリフ主体のメタル」ではない。メタルコアとかNuMetalですからね。音楽性で言えばラウドロックです。

ラウドロックの90年代の枚数:18枚
ラウドロックの00年以降の枚数:51枚

メタルの90年代の枚数:89枚
メタルの00年代以降の枚数:34枚

と、比率的にも逆転。

ただ、ラウドロックの勢いも2010年代初頭まで。これ、2022年3月までの集計なんですが、2012年以降にリリースされたアルバムで日本でゴールドディスクを取ったラウドロック系の洋楽アーティスト、アルバムはありません。一気にストリーミングに移った、ということも影響しているのでしょうけれど。

日本における洋楽のシェア

実は「日本の音楽市場における洋楽のシェア」って公式なデータが見つかりません。ときどき見かける数字で言えば「90年代、CD売り上げ最盛期の頃の洋楽のシェアは30~35%で、2020年ごろには10~15%にまで落ちている」というもの。出典が見つからないんですが、音楽評論家やメディアで散見するのでこれぐらいの数値なのでしょう。

ただ、これっておそらくCD(フィジカル)の売上なんですよね。日本ではまだストリーミングとフィジカルを合算する集計方法が確立されておらず、ストリーミングの比重が加味されていません。これは今回の「ゴールドディスク」の算出基準にしてもそうですね。CD売上だけ。で、日本は世界の中で突出してフィジカルの売上が高いんですよね。これ、2010年代初頭には確か2位の国に倍以上の差をつけて日本が1位だったはず。今もそれほど変わっていない(むしろもっと差がついているかも)という状況です。

日本レコード協会の発表によれば、2021年の日本の音楽市場において、CDやレコードなどのオーディオレコードの売上が約1279億9200万円だったのに対し、ストリーミングを含む音楽配信の売上は895億3800万円にとどまっている。 前述した通り、世界全体では音楽市場におけるストリーミングの市場シェア率が65.0%という数値を占めているのに対して、日本ではストリーミングがフィジカルの売上を下回り、日本全体の音楽市場の50%以下というシェア率となっている。 もちろん、IFPIが使用している指標と日本レコード協会が使用している指標は異なる。しかし、IFPIが発表した世界全体の音楽市場の市場シェア率と比べてみると、日本におけるガラパゴスなCD文化の根強さはうかがえる。 事実、世界全体で見たフィジカルの売上において、IFPIによれば日本を含むアジアは全体の49.6%を占めている。
出典
日本はまだまだフィジカル(オーディオレコードと音楽ビデオ)が主、音楽配信も伸びているけれど半分以下(2022年に日本レコード協会の発表資料より) 出典

で、おそらく洋楽ファンはCDよりストリーミングを主体で聴いていると思われます。なぜならそもそも世界の主流はストリーミングになってきているし、最近はフィジカルリリースがないアルバムも多いから。メタル系に限定して考えると日本のメタラーはフィジカルを入手したがる人もまだまだ多い気がしますが、そもそも手に入りにくいんですよね。ほとんど国内盤は出なくなっているし、輸入盤をなんとか入手するしかない。だから、ストリーミングでの視聴数などを考えると案外洋楽の(総聴取時間で考える)シェアは減ってはいても10%まで落ちてはいないのかも。上記の「今の洋楽のシェアは10~15%」というのはフィジカルだけに限った話であり、ストリーミングを含めれば洋楽の比率が上がるはずだから、平均すれば上振れするのかもしれません。なお、ここでいう洋楽とは「日本語以外の言語で歌われている音楽」という意味です。なので、K-POPも洋楽です。

ストリーミングでは何が再生されているか

ストリーミングの方も、Spotifyの最新のデータを観てみましょう。

Spotify 2021年 国内で最も再生されたアルバム

  1. THE BOOK / YOASOBI

  2. BE / BTS

  3. strobo / Vaundy

  4. Life Goes On / 平井大

  5. Love Yourself 結 'Answer' / BTS

  6. STRAY SHEEP / 米津玄師

  7. MAP OF THE SOUL : 7 / BTS

  8. Traveler / Official髭男dism

  9. アンコール / back number

  10. hope / マカロニえんぴつ

リアルタイムチャート(週間)

おや、、、ほとんど邦楽ですね。むしろ、洋楽より邦楽の方が聞かれている? ストリーミングサービスを利用する層は若年層が多く、若年層の洋楽離れは顕著なの、、、かも。これはデータがあるのでデータを見てみましょう。

音楽メディアユーザー実態調査 2021

ストリーミングサービスユーザーは20代~30代が主流。若者を中心に増えているようです。洋楽、邦楽のデータは残念ながら見つかりませんでしたが、ストリーミングサービスのランキングを見ると(Spotifyだけ貼りましたが、Apple Musicはより一層邦楽が目立ちます)邦楽のシェアがむしろ多いような、、、。洋楽は「決まったアーティストを皆で聴く」というより、細分化している、音楽好き(マニア)が聞くことが多いのかもしれません。だから一つの作品に集中していない、のかも。この辺りはデータがないので推測ですが。

ただ、いずれにせよ減少傾向にある洋楽ファン全体の中でも「メタル」、ひいては「ラウドロック」のファンは更に減っているのは事実かもしれません。ストリーミングの試聴数ランキングではまったくメタルアーティストは出てきませんからね。

メタルといえば基本的に洋楽です。国内のメタルバンドはありますが、やはりヘッドライナークラスは少ない。ジャパメタ~V系の独自市場はありますが、ちょっと違う気がします。もともと洋楽ファンが国内市場の約3割として、そのうちの15%がメタラーだったと仮定したらだいたい3%ですね。メタル最盛期(90年代)というのは音楽ファンの5%がメタラーだった。じゃあ、「メタルが盛り上がった時代」を再来させるなら、5%を目標にすればいいのかもしれません(人口自体が減っている、、、はいったん考えません)。90年代の若者はCDバブルだしまぁだいたい8~9割ぐらいは音楽を聴いていた。で、そのうち5%がメタラーだとするとだいたい25~30人に一人とか。学校で考えると各クラスに1~2人メタラーがいた、、、まさに、メタル黄金期ってそんな感じだったんじゃないでしょうか。逆に言えば、今はもっと少ないということなのでしょう。中高生世代で考えると学校に2〜3人とか…。

先ほどのストリーミングサービスの利用者数、20代+30代で50%超、と書きましたが、見方を変えると「30代以上で約50%」とも言えるんですよね。もっと言えば40代以上でも30%ぐらい。この世代はCD黄金時代を知っています。…おや、30代以上の1割がメタルを聴けば5%に行くじゃないですか。先日の記事で「むしろ30代、40代の人たちにいかにメタルを知ってもらうかが重要」と書きましたけれど、やっぱりそれでいいんじゃないですかね。

というわけで、「大人のためのメタル話」を始めます。初回なので現状整理をつらつらを書きましたが、次回以降は「大人が聞いて楽しめるメタル」や「大人ならではのメタルの楽しみ方」を書いていければと思っています。それでは良いミュージックライフを。

おまけ:1989年~2022年の洋楽ゴールドディスク(10万枚)以上の売上アルバム一覧

各年のゴールドディスク以上認定アルバムを列挙していきます。視覚的に見ると90年代はどんどん枚数が増えていき、洋楽が売れまくっているのが分かる。1993年~2005年ぐらいがピークで、スマホで見ると一画面に収まらないぐらいありますね。2008年から減速し始め、2015年から激減。2020年なんかは年間1枚しかありません。ちなみに2022年、1月~3月時点では0枚です。「メタルとラウドロックが売れた時代=CDが売れた時代」と言えるかもしれませんね。

認定月/認定枚数/タイトル/アーティスト
※同じアルバムがゴールド→プラチナム→ミリオンと複数回認定あり
凡例:紫字=ロック系 青字=ラウドロック系 赤字=メタル系
※主観且つ手作業なので「ロック系」はあくまで参考に、そんなに厳密に定義していませんし抜けがあるかも。

1989年

1990年

1991年

1992年

1993年

1994年

1995年

1996年

1997年

1998年

1999年

2000年

2001年

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?