Adamlar / Rüyalarda Buruşmuşuz
Adamlar(「男性」という意味)は2013年に結成されたトルコのロックバンドで、ボーカリスト兼ギタリストのTolgaAkdoğan(トルガ・アクドアン)、ギタリストのGürhanÖğütücü(ベルカン・ティラベル)、ベーシストのEmir Ongun、ドラマーのBerkanTilavelで構成されています。ベースとドラムはメンバーチェンジあり。もともと5人編成だったようですが現在は4人編成のようです。2014年に1stアルバム「Eski Dostum Tankla Gelmiş(私の旧友が戦車に乗って来た)」リリース、2016年に2ndである本作「Rüyalarda Buruşmuşuz(しわくちゃの夢)」をリリース。トルコオルタナティブの最前線にいるバンドの一つです。
活動国:トルコ
ジャンル: Alternatif rock、Rock and roll、Blues rock、Indie rock
活動年:2013-現在
リリース:2016年10月27日
メンバー:
ボーカリスト兼ギタリスト TolgaAkdoğan
ギタリスト GürhanÖğütücü
ベーシスト Emir Ongun
ドラマー BerkanTilavel
総合評価 ★★★★☆
どの曲もフックがあってキャラクターが立っている。トルコ要素、西洋と東洋のクロッシングポイントで独自の音楽文化を持つトルコ音楽を西洋音楽、インディーロックやギターポップの手法と組み合わせることで曲ごとの振れ幅が大きく、かつ聞きやすい作品に仕上がっている。両方の要素が借り物感ではなくしっかりと血肉になった感じがするのは世代か。生まれた時からロックにも触れているだろうから、両方の音楽がルーツとして自然に身についているのだろう。トルコオルタナティブの名盤。
1. "Hepinize El Salladım" 3:04 ★★★★☆
独特の乾いた質感のギター、80年代オルタナ的な音像だがメロディセンスがトルコ的でまったく聴感が違う。言葉や音楽文化の違いは大きい。トルコフィルターを通すとアナドルロック感、独特のサイケ感や乾いた感じが出る。歌メロはくっきりしている。煮え切らない感じというよりはしっかり着地するメロディ。DIY感を感じるトルコオルタナティブ。
2. "Tın Tın" 3:40 ★★★★☆
レゲエ調。音の隙間が気持ち良い。コーラスで強烈にトルコ感が出てくる。ラテン音楽とトルコ音楽の融合。ベリーダンスが目に浮かぶレゲエ。
3. "Şakacı Birisin Sen" 3:28 ★★★☆
90年代オルタナ的な、ダウナーなボーカルと控えめなリフ。ミドルテンポでじっくりと曲が展開していく。歌メロはフックがある。ちょっとOASIS辺りにも近いコード感。ところどころにエスニックな引っかかりがある。このアイデンティティの主張が面白い。
4. "Yanmış İçinden" 3:52 ★★★★
サイケな音像、アナドルロック、Altin Gunにも通じる。細いギター音で奏でられるエスニックなメロディ。なんだろう、演歌にも通じるような節回し。だけれどエスニック感が強い。日本でもヒットしたウスクダラ的な、何かトルコは日本と近いものがあるのだろう。トルコ語、日本語、ハンガリー語は近いところがあるのでなんらか種族的なつながりが強いのかもしれない。
5. "Orda Ortada" 3:42 ★★★★
反復するアコギのリフ。アーシーな四つ打ち。土埃を感じるアコースティックな音像。つぶやくようなボーカルが音像に合っている。内面の吐露だろうか。砂漠、荒野、乾いた風景。そういえばトルコは初期のキリスト教団が逃げ込んだ岩の洞窟群がカッパドキアに残されている。
6. "E Tabi" 4:26 ★★★★☆
どの曲もポップセンスが高いな。インディーポップ、インディーロックとしてフレッシュな音像。メロディアスなギターリフから歌メロが入ってくる。ギターポップの王道的な音。
7. "Rüyalarda Buruşmuşum" 3:52 ★★★★
ゆっくり歩くようなテンポ、やや大仰な緩急。シャンソン的にも聞こえる。ボーカルラインが大きく動く。どの曲もだんだんと感情が篭もってくる、曲作りが上手い。
8. "Ah Benim Hayatım" 3:58 ★★★★☆
こちらもワクワクするイントロ。ややオールディーズの要素も取り入れている。古いロックンロール、ジルバ。そこに唐突に差し込まれるトルコ要素。対比して曲が進んでいく。なんだろう、大瀧詠一あたりもちょっと思い出す。ナイアガラ的な遊び心とポップセンスが両立している。そこにオルタナティブロックの音像、インディーロックの音像が乗る。
9. "Acının İlacı" 4:47 ★★★★☆
乾いたギター音。自然体のバラード。メロディや一つ一つの音に妙な説得力がある。Acının İlacıとは鎮痛剤のこと。別れの痛み、失われた日々への痛みを癒してほしいという歌。恋愛関係だけでなく、失われたもの全般に対する多義的な歌詞になっている。
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