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Cola Boyy / Prosthetic Boombox

マシュー・ウランゴ(Matthew Urango)、別名コーラ・ボーイ(Cola Boyy)は、カリフォルニア州オックスナード(マッドリブとアンダーソン・パークの故郷)出身のマルチインストゥルメンタリスト兼歌手です。白、黒、ヒスパニック、ネイティブアメリカンの家族の多文化ミックスで育った彼の逸脱したディスコは、ロック、ソウル、ファンク、パンクの精神とラテン系のグルーヴをブレンドしています。

ウランゴは、カリフォルニア州オックスナードで二分脊椎と脊柱側弯症を患って生まれました。この町では、約3万人が貧困状態にあると推定されています。彼の待望のデビューアルバムであるProsthetic Boomboxは、一見、ポップな折衷主義の楽しい紙吹雪の爆発のように見えるかもしれません。しかし、もっと深く掘り下げると、あなたは煮えたぎる反逆の感覚を発見するでしょう。「労働者階級は負傷し、家賃を払うのに苦労し、食卓に食べ物を置くのに苦労しています」と彼は言います。「私はそれを表現したい。」Prosthetic Boomboxは、独創的なインディー、ファンク、ソウルのスリル満点の勢いでその目標を達成します。

出身国:US
ジャンル:ディスコ、ファンク、ポップ、フューチャーソウル
活動年:2018ー現在
リリース:2021年6月18日

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総合評価 ★★★★☆

音楽として良質、流して聞いていると心地よい。入りやすい入り口。サラっと流れていくが歌詞は重い。次々とシリアスなテーマが出てくる。最初はディスコ、フューチャーソウル的なキラキラした音像だが、だんだん後半になるにつれてダブ、レゲエ的な少しダウナーなサウンドに。最後はサイケデリックで終わる。だんだんと毒気が効いてくるというか。擬態する感情、それが無理に作られたものではなく長年張り付いたペルソナとして機能している。どこかに所属したい、何かを変えたい。そういう想いを抱えて毎日は続いていく。あまり熱くアジテーションするわけでもなく、どこか距離を持った淡々とした表情。それがその後ろにある感情や歴史にかえって説得力を持たせている。

1.Don't Forget Your Neighborhood 04:54 ★★★★★

The Avalanchesがゲスト参加した曲。オルガン的なキーボードの音、浮遊するような、離陸するような音作り。オートチューンで加工されたコーラスが入る。キラキラした音。

”Don't forget me Don't forget Don't forget your neighborhood"
(僕を忘れないで、君の隣人を忘れないで)
"Fight for your town with your fist closed"
(君の街のために、拳を握るんだ)
"Strike it and make it more than just a memory”
(それを打ち付けて、単なる記憶以上のものにするんだ)
”I love my neighborhood”
(僕は隣人を愛している)

2.Mailbox 03:52 ★★★★

ディスコサウンド、グルーブが効いてくる。次々とメールが送られてくる、オンラインで繋がる。それを燃やしてしまえ、高みに上るんだ。”Let Me Daydream””Avoiding my responsibilities”(僕を夢の中へ連れて行って、責任を放り投げるよ)。現実から逃避するパーティーソング。ダンス、ダンス、ダンス、そしてダンス。カウントダウンが始まって曲が終わり。

3.Song for the Mister 04:16 ★★★★☆

「この手紙が意味するのは、彼女はもう出て行ってしまったってこと。彼らは僕のドアをけり破り、もうどこにも食べ物が無い。彼らは僕の店を閉めてしまった」。”I'll pay them I'll feed us I'll win her back I'll won't give up”「僕は彼ら(子供達)の為に支払い、家族を食べさせ、彼女を取り戻すんだ、諦めない」。奥さんに出ていかれ、一人で子供たちを育てるシングルファーザーの歌のようだ。

4.Roses 03:23 ★★★★☆

ダンサブルなサウンド。DJのMydがトラックメイクしているのかな。作者にクレジットがある。ジャミロクワイのような、リバイバルした未来的なディスコ。フューチャーソウルと言うか。どうも、初体験の歌? あるいは売春婦の歌か。「Her Brothers」が出てきて手伝ってくれる、というのは、家族ぐるみで売春せざるを得ない貧困の黒人の少女のことかもしれない。

Raised up
上がったんだ
Mud around her ankles
彼女のかかとの周りには泥がついていて
Gap up in her front tooth
彼女の前歯はちょっと出っ歯
Put me on her shoulders
僕を彼女の肩に乗せて
Took me to her brothers
彼女の兄弟が連れて行ってくれた
He made me puff a roller
彼は僕にローラーで膨らませて
Finally in her garden
ついに彼女の庭に入った
She hande me a flower(It's black)
彼女は僕に花をくれたんだ(それは黒)
There' s a shower
シャワーがある
Counting the Season
季節を数える
Till that black rose
いつか黒い薔薇が
Blooms again
もう一度さく日まで

5.For the Last Time 03:19 ★★★★

ピアノ弾き語り的な曲、エルトンジョンのような。ただ、キーボードの音はかなり瞬発力がある。さっと切り上げる残響音少な目。オートチューン気味の声。過去の過ちをもう繰り返さない、といった歌のようだ。

Life’s fulfilling right now (another dime)
Thanks for fixing the house (another time)
It’s the friends that we lose (never die)
Gets me thinking of you

6.You Can Do It 03:05 ★★★★☆

完全なダンス、ディスコ。暴動の歌だろうか。アジテーション。踊れ、と。

Dancing
踊れ
The moves we make in death they'll still be
僕たちが命を懸けて踊る時も彼らはまだ
Dancing
踊るんだ
Bringing us back to life forever
僕たちは永遠に生きる
Dancing
踊れ
You can do it
君にはできる

7.Mink 02:38 ★★★☆

跳ねるようなリズム、ベースがかなりファンキー。何か不穏なことを言っている感じはするが擬音が多い。

8.One of These Winters Will Take Me 04:06 ★★★★☆

スロウな、ダンスホールレゲエ的なメロウなグルーブ。神がいない、神に見放された、それを嘆くのではなく「いつものことさ」とつぶやく。曲調はややシリアスだがどこかブラックユーモア的な軽やかさもある。そこまで暗鬱とはしていない。

Godless godless godless godless
神がいない、喪った、ゴッドレス、ゴッドレス
Godless god its ordinary
神を失った神、それが普通のことさ
Honest honest ordinary
正直、正直にいうと、普通のことさ
All in all I’m ordinary
全部、僕にとってはいつものことさ

9.Go the Mile 03:49 ★★★★☆

引き続き暗めのサウンド、暗めというか、ダブ的な。低音が効いている。「若者がスポーツアリーナに座って過去の夢を思い出している、彼は12歳で夢をあきらめた、彼の取引はいまだに彼を縛っている」、貧しさのために働かざるを得なかった若者の姿だろうか。

10.Kid Born in Space 03:14 ★★★★☆

こちらもダブ的な、深いベース音。MGMTのボーカルがゲスト参加。クラシックロック的なメロディ。サイケデリック感が強い。

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