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Cirith Ungol / Half Past Human

Cirith Ungol(キリス・ウンゴル)は1971年に結成された非常に歴史が古いバンドで、USパワーメタルの源流の一つとされています。現在進行形で活動中。物語性の高いファンタジックな世界観を持っており、エピック・ドゥーム・メタルの初期の確立にも影響を与えました。こちらは残念ながらもう解散してしまいましたが、Manilla Road(マニラ・ロード)と共にUSメタル黎明期から長年活動しているバンドです。こちらは2021年に発表されたEP。ジャケットも最高です。なお、Cirith Ungolとは指輪物語に出てくる「蜘蛛峠」のことです。

国:US
活動期間:1972-1992, 2015-現在
ジャンル:Heavy/Doom Metal

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1.Route 666 05:05 ★★★★

エンジン音、バイクだろうか。発車、発進するSEからスタート。やや霞がかかった、ナチュラルでサイケなHRサウンド。本物にしか出せない年季を感じる。ボーカルのテンションが上がっていく。ちょっとThin Lizzyバリのメロディのソロ。ただ、綺麗にツインリードはハモらず、少し緩く絡み合う。初期Black Sabbathのようなダークで少し素っ頓狂なところがある。それにGrateful Deadあたりのサイケ感、緩い感じを足した感じ。バイクで走り去っていく。

2.Shelob's Lair 05:34 ★★★★☆

シンプルだけれど妙に説得力のあるリフ。なんだろうなぁ、ちょっとしたリズムのタメと音作りなのだろうか。ほぼ無個性というか、非常にありがちな展開なのだけれど、他にない存在感がある。2019年のベストアルバムに選んだTanithにも近いものを感じる。この曲はメロディアスで、テンポチェンジも入る。Black Sabbathにも、Blue Oyster Cultにも通じる空気感。タイムレスというか、時代が分からなくなる感覚がある。演奏は決して技巧的ではなく、むしろやや突っかかるような感じすらあるが、音やグルーヴがしっかりある。これが職人芸か。

3.Brutish Manchild 03:43 ★★★★

金切り声とうか、決して堂々とも朗々ともしていない、ヘタウマな声なのだがカリスマ性がある。自然体で繰り出されるメタル。レイドバックしたパワーメタルという不思議なものがあるとしたらまさにこれだ。手を抜いているわけではなく、武道の達人のように脱力している。適度なゆるさがありつつアンサンブルが絡み合っていく。下手なんだか音楽の神髄なんだか分からない奇妙な隙間とリズム感。不思議な感覚で中毒性がある。


4.Half Past Human 07:23 ★★★★

アコースティックギターのアルペジオから。空気感が欧州に。古城が脳裏に浮かぶ。ツインリードが入ってくる。欧州HR、湿り気のある音像。長尺曲だけあり、まったく焦る様子がなく悠然とドラマを描いていく。これだけ泰然自若とした風格は年季の成せる業だろう。冗長に感じてしまいそうなところを老獪に少しづつ展開して聞き手の集中力を保ちつつじっくりと曲が進んでいく。B級メタル感があるのだが、アンダーグラウンド感や暗黒感もあるのだけれどどこか仙人的な、浮世離れした神々しさもある。お、ちょっとテンポアップした。長尺の曲なのだけれどぜんぜん長さを感じないというか、気負わない感じの曲。余力を感じる。

全体評価 ★★★★

フルアルバムを聞きたくなる。EPで出すだけあって(このバンドはEPは初リリース)どの曲も完成度が高い。4曲と言う短さもあって中毒性があるEP。こうしたマニア心をくすぐるバンドは大好きです。

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